使えない上司・使えない部下

2017年1月19日

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「そんな言い分は、上司への人格否定だ!」

鈴木剛さん

 上司の人格を否定する「困った部下」もいます。大手メーカーに30年以上勤務する50代後半の男性が労働相談に来ました。順調に昇格し、部長になったものの、心身疲れ果て、1年間休職。

 復職したのですが、降格となり、ヒラに。そのことに怒りを覚え、我々のところへ来たのです。仕事で大きなミスはなく、むしろ、功績は大きい。ところが、団体交渉をすると、男性のかつての部下が会社側の一員として現れ、「この人は何も考えていない」と発言する。人事部などから、そのように言うように命令を受けたのかもしれません。

 わたしはたまらず、言いました。「失礼だろう! そんな言い分は、かつての上司への人格否定だ!」と。団交をやめて、帰ったのです。あんな発言は許せない。しかも、その男性もさほど優秀でもないようです。会社の言いなりになっているだけ。まさに「茶番」ですよ。こういう部下も、「困り果てた部下」です。もはや、小学生レベルのいじめでしかない。

 この2つの事例に共通しているのは、人事の評価を悪用し、狙った人を追い出したり、辞めさせようとしたりすること。人事評価は、成果主義と言いながらも、実際は「コンピテンシー評価」という、評価基準があいまいなものです。勤務態度や仕事への姿勢、コミュニケーション力、積極性とか、協調性などまで評価される。

 一方で、総額人件費を削減するために、ローパフォーマーをあえて強引につくり、辞めるように仕向ける。少なくとも、「使えない社員」とレッテルをはる。

 こういう状況下では、人事評価は突然、変わりうるのです。積極的にやれば、「協調性がない」。職場の空気を感じとり、控えめな行動にすると、「積極性がない」となる。そして、「使えない部下」とレッテルをはる。

 これでは、部下は常に上司の顔色をうかがわざるを得ない。上司は、部下をどうにでも評価できるようになっている。ましてや、最近は、上司の権限が強い。自分の勤務態度も成績も棚上げし、「コンピテンシー評価」を悪用し、部下を低く扱うことができうるのです。

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