世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月13日

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 ワシントン・ポスト紙が1月17日付で「トランプの内閣はNATOが重要であると知っている。トランプがそれに同意しているのか、はっきりしない」との社説を掲載、閣僚などはトランプがNATOを破壊しないように最善を尽くすべきである、と論じています。論旨、次の通り。

(iStock)

 トランプが指名した安全保障関係閣僚は、1945年以来西側と米国の世界的指導力を裏打ちした同盟を次期政権は解体しないと述べた。国防長官に指名されたマティスは「NATOがなければ、それを創設する必要があるだろう」と述べ、国務長官に指名されたティラーソンは欧州同盟国を守るとの米国の条約上の約束は「不可侵」とのべた。

 しかし、トランプがこれに同意しているのか、はっきりしない。ロンドン・タイムズ紙のインタビューで、トランプは、NATOは時代遅れである、テロと戦っていないし、加盟国は防衛費を約束通り増やしていないと述べた。その上で、EUが存在するかどうかはどうでもよい、さらに離脱する国があるだろう、と予測し、ドイツのメルケルとプーチンへの信頼を同等であるとした。モスクワはトランプの発言を歓迎し、欧州の指導者は警戒心を示した。

 メルケルは発言を重視していない。彼女は正しいかもしれない。トランプは、NATOは重要とも言っている。トランプの言葉は真剣に受け取る価値はない。しかし、トランプの意図が大西洋同盟を掘り崩し、EUの解散を奨励し、再選を狙うメルケルを引きずり降ろすというものであれば、彼は効果的であった。プーチンの狙いと軌を一にする。

 ロシアは既に、メルケルの信用を失墜させる偽情報作戦を、インターネットを使ってやっている。ドイツ人がトランプの介入がロシアの攻撃を強めるようになされていると考えても許されよう。トランプは難民問題でメルケルは「破局的間違い」をしたと非難し、ドイツは欧州統合を自己利益のために使っていると言った。

 米国はEUの生き残りに関心がないというのは間違っている。EUは大国間戦争を考えられないものにし、民主主義と人権擁護をポルトガルからルーマニアまで確立する助けになった。NATOについては、マティスが「近代世界史でもっとも成功した軍事同盟」といったのは正しい。  

 NATOは米国の力と世界での影響力を増幅した。それなしには、ロシアの新帝国主義を封じ込める効果的手段がない。

 メルケルはトランプが就任後どうするかを見たいと述べた。世界での米国の立場に価値をおくアメリカ人は閣僚も含め、トランプが言葉通りに行動しないようにするために最善を尽くすべきである。西側同盟は壊されたら簡単に再建できない。

出典:‘Trump’s Cabinet knows NATO is important. It’s not clear he agrees.’(Washington Post, January 17, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/trumps-cabinet-knows-nato-is-important-its-not-clear-he-agrees/2017/01/17/e767258a-dcd2-11e6-acdf-14da832ae861_story.html

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