世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月28日

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 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米代表も務めたクリストファー・ヒル(元米国務次官補、元韓国大使)が、Project Syndicateのサイトに1月27日付で掲載された論説において、トランプ政権は政策の優先順位を明確にして現実の脅威になっている北朝鮮の核・ミサイルに焦点を当て早期に対応すべきである、と述べています。要旨、次の通り。

(iStock)
 

 トランプ政権にとり最も緊急の課題の一つは北朝鮮である。金正恩は新年の辞で北はICBM(大陸間弾道ミサイル)を持っており、ICBMの発射実験をする用意ができていることを明らかにした。これに対してトランプはツイッターに「それは起こさせない」と書いた。トランプが外交上のレッドラインを引こうとしたのか、あるいは単なる予測を述べたのか、北はそんな技術力は持っていないと反論したのかは分からない。

 1980年代以降米国の歴代政権がこの問題に直面してきたが、今回ばかりは脅威が現実のものとなっている。トランプ政権の間に北は大量破壊兵器で米を攻撃する手段を獲得するかもしれない。北はあくまで核兵器とミサイルの実験を続けようとしている。今や失敗も隠そうとはしていない。

 北の動機については、レジームの維持、威信増進、自衛、地域覇権などが議論されてきたが、北の目的を知ること自体は重要ではない。

 良いオプションはなかなかない。問題を無視することはできないし、選挙戦でトランプが示唆したように中国に「外注」することもできない。効果的な戦略のためには、米国のあらゆる形の力、特に外交と中国との協力を使っていくことが必要である。

 北の核排除の戦略には次のことが必要である。まず、米国は日韓との強い関係を維持していくべきである。トランプは日韓との間で貿易や軍事協力などの目的を追求するにあたっては賢明にやっていかねばならない。日韓(特に韓国)は世論の変化に敏感であり、米国は二義的な問題で日韓の不満を起こさないようにしなければならない。

 中国との関係はもっと難しい。中国の懸念を単にレジームチェンジや難民流入問題だと短絡に考えることはできない。中国の一つの重要な考え方は、北の崩壊は中国の核心的利益に関係するとして韓国主導による半島統一は米国との関係で中国を不利にすると考えている。

 統治とは優先順位をつけることである。米中関係はその幅広い目的の中でどの目的が他の目的と比べて一層重要なのかを考えてみることをしてこなかった。中国との貿易の進展が北の脅威の無力化よりも重要なのか。

 トランプ政権にとり重要なことは、アジアでの米国の利益につき明確な評価を行い政策に優先順位をつけることである。新政権が北の核脅威に焦点を当て、早期に対応することを希望する。

出典:Christopher R. Hill,‘Can Trump Manage North Korea?’(Project Syndicate, January 27, 2017)
https://www.project-syndicate.org/commentary/trump-north-korea-nuclear-program-by-christopher-r-hill-2017-01

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