海野素央の Love Trumps Hate

2017年3月3日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「一時休戦を宣言したトランプ」です。2月28日(現地時間)ドナルド・トランプ米大統領は、「米国精神の刷新」をテーマに掲げて、米議会上下両院合同本会議で施政演説を行いました。確かに、雇用創出、医療保険制度改革法(通称オバマケア)の廃案と代替案による置き換え、規制緩和及び国防費増額など政策中心の演説でしたが、トランプ大統領の本音と言えるメッセージもありました。本稿では、同大統領が今回の施政演説をどのように利用したのか、その背景には何が存在していたのかについて迫ります。

演説するトランプ大統領(GettyImages)
 

選挙モードの一時的中止

 トランプ大統領は、施政演説で米国民を助けるために「ささいな争いをする時代は過去のものになった」というメッセージを発信して、共和・民主両党の議員が協力して仕事を遂行することを強く求めました。その背景には何があるのでしょうか。

 トランプ大統領は、就任後40日間で早くも現実に直面したのです。閣僚、政府高官並びに最高裁判所判事に指名したニール・ゴーサッチ氏に対する承認の遅れに苛立ちを隠せなかった同大統領は、人事を進め政策実現を図るためには両党の議員からの協力が不可欠であることを強く認識したのです。実務部隊の政府高官の人事は、政策を実行するうえで欠かせません。そこで、同大統領は団結及び協働といった言葉を使用して、施政演説を両党の議員間の協力を促す場として利用したのです(図表1)。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る