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2017年3月12日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 1人が1台以上のスマートフォンを持つようになり、ニュースコンテンツをめぐって新聞系サイトとニュースアプリを使った新旧メディアがサイトの覇権を賭けて激突している。最近はサイト上での不安感をあおるようなフェイク(偽)ニュースの横行が話題になる中で、ニュースアプリの「質」が問われている。

 数年前まではネットニュースといえばヤフーの独壇場だったが、いまやLINE、スマートニュース、ニューズピックスなど新興メディアが相次いで登場、新聞を見ない若者世代の支持を得てアクセス数を急激に伸ばしている。一方で新聞社系のニュースサイトはスマホへの対応が立ち遅れて大苦戦。ニュースサイトを巡る最新情勢について、インタビューを交えて2回続きで報告する。

LINEの猛追

 ヤフー・ジャパンは広告モデルによる無料ニュースサイトのサービスを1996年に開始、アクセス数を爆発的に伸ばしてきた。現在、新聞各社を含めたメディア約200社から1日約4000本の記事の配信を受け、この中から同80~100本を「Yahoo!ニュース トピックス」(98年12月開設)に掲載している。いまでは月間のページビュー(PV)が約150億という日本で最大級のニュースサイトに成長している。

 「トピックス」には8本の記事が掲載され、上の方に政治、経済、国際などの硬派記事、6~8本目に原則3本までスポーツ、芸能関連の記事という構成になっている。ここに載るとニュースの波及度合いが大きい。提供する側には、ニュースへのアクセス数に応じた2段階の従量制で提供料が支払われる。昨年4月からは、記事のアクセス数だけでなく、いわゆる特ダネなどの質の高い記事に対する支払制度も始めた。

 一方で、新聞社も提供料は収入源にはなるが、期待したほどの金額にはなっていないのが実情で、新聞社は金額の低いことに対してかねてから根強い不満がある。しかし、今の厳しい新聞社の経営実態からすると、「それでも、いったん提供料をもらい始めると、なかなか止められない」のがいまの新聞社の実態で、力関係で上にあるヤフーに対して、提供料の値上げは言い出しにくい環境にある。

 数年前までは、地方新聞の中にはヤフーにニュースを提供することへの抵抗感が強かった。だが最近は、全国的に浸透力のあるヤフーに掲載することによるニュースの拡散、自社サイトへの読者誘導ができるメリットを重視、提供する新聞社が増えている。

 13年ごろからスマートフォンが急激に普及、ヤフーでは現在の閲覧比率はパソコンよりスマホの方が多くなってきている。これに伴い、アクセス数もSNS(交流サイト)のLINEの「LINE NEWS」に追い上げられ、社内にも危機感が生まれている。

 ヤフーの有吉健郎ニュース担当企画部部長は「アクセス数を伸ばすため軟派記事を増やすつもりはない。硬派記事と軟派記事の今の構成比率は変えないことでニュースサイトとしてのブランドを維持していきたい。フェイスブックやツイッターなどSNSで何が話題になっているかもウォッチしている。LINEは写真などの見せ方が上手なので勉強させてもらっている」と話し、スマホ、SNS対応を急いでいる。

 収入的には広告収入が大半で有料ニュースサイトからの収入はまだ少ないが、広告モデルによるサイト間の競争が激化しており、これまでのような広告収入の大きな伸びは望めなくなっている。また、サイトを閲覧するときに広告を消去する「アドブロック」と呼ばれる機能も登場してきており、広告モデル中心のビジネスモデルからいかに軌道修正するかが課題になってきている。

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