今回のテーマは「日米経済対話の行方」です。安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領による初の日米首脳会談では、麻生太郎副総理兼財務相とマイク・ペンス米副大統領の下で経済政策、インフラ投資及びエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールを柱とした「日米経済対話」を行うことが合意しました。ペンス副大統領の訪日は4月中旬で調整中だと各メディアが報じています。
日米経済対話にペンス副大統領を巻き込み、交渉において経済と安全保障を切り離した点は評価できるのですが、まったく予断を許しません。そこで本稿では、日米経済対話の行方をホワイトハウスにおける権力闘争並びにトランプ大統領が直面している内政問題という2つの視点から考えてみます。
ペンス頼みの日本
米国インディアナ州政府駐日代表事務所及びインディアナ経済開発公社によれば、同州に進出している日系企業数は280社以上、雇用者数は約5万5000人です。産業別では特に自動車産業が盛んで、日本からはトヨタ自動車、ホンダ、富士重工業並びにアイシン精機などの自動車部品メーカーが進出しています。私事で恐縮ですが、自動車部品を扱っている日本企業に勤務しているゼミの教え子は昨年同州での駐在を終えて帰国しました。
ペンス副大統領は、2013年1月から17年1月までインディアナ州知事を務めていました。日本側は日本企業とパイプのあるペンス副大統領に期待し依存しています。ところが、ホワイトハウスにおけるペンス副大統領が置かれた状況が、日本側の期待を裏切る可能性があるのです。以下で説明しましょう。