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2017年4月14日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

産經新聞前論説委員長

産經新聞前論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員などを経て、2015年6月から産経新聞社監査役。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 さきの米中首脳会談は、米軍のシリア攻撃によって、すっかり影が薄くなってしまった。

 会談自体は、やはり北朝鮮の核開発問題が主要な議題になったようだ。首脳会談真っ最中の攻撃断行は、核・ミサイル開発に血道をあげる北朝鮮に対するトランプ政権の警告だという。日米のメディアは、軍事行動の可能性とあわせて、“斬首作戦”つまり金正恩朝鮮労働党委員長の暗殺計画も報じている。米国は、本当に北朝鮮への攻撃に踏み切るのか。

(iStock)

 しかし、「軍事行動」と一口でいっても、事はそう簡単にはいくものではない。かならずしも成算がないうえに、「全面戦争」の可能性すら危ぶまれるからだ。

 米軍が軍事行動に出た場合、北朝鮮の兵力の70%が集中するDMZ(非武装地帯)周辺、の軍事基地と、核開発の“聖地”寧辺の施設を主な標的とするだろう。しかし、最も危険な存在である弾道ミサイルの完全破壊は、移動式発射装置を保有しているなどの事情から、困難視されている。

 北朝鮮が報復として、移動式装置を駆使して、ミサイルを発射してくれば、日本、韓国に飛来するまでにそれほど時間がかからない。人的被害は生じなくとも、わが国の陸地のどこかに着弾したとしたら、極めて深刻な事態だ。北朝鮮に報復能力が残る限り、米としても攻撃に簡単に踏み切ることはできない。

 “斬首作戦”にしても困難が伴う。米軍は金正恩が、どこに潜んでいるのかを特定しなければならない。

 イラク戦争の時、第一撃でサダム・フセイン大統領(当時)を殺害するはずだったが、失敗、拘束まで1年9カ月という時間がかかった。

 9・11同時テロの指導者、ウサマ・ビン・ラーディンの殺害にも、事件発生から約10年という長い長い期間を要している。

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