世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月21日

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 台北タイムズの3月19日付け社説が、中国の南シナ海の軍事化は核戦略とも結びついた大戦略の一環であるとして、強く警告しています。要旨、次の通り。

(iStock)

 最近のレポートによれば、中国はパラセル(西沙)諸島の北島の将来の軍事施設支援に向けた港湾の準備を含む軍事化を継続している。これは、何十年にもわたって中国が展開してきた地域海洋戦略の一環である。北島は、海南島の核搭載潜水艦の基地を防御すべく、地対空ミサイル発射装置やジェット機を一時的に配備している永興島に対する保護網の一部となる。

 中国は、ティラーソン米国務長官の警告にもかかわらず、発足したばかりのトランプ政権がこうした小さな変化を挑発的過ぎると見ないことに賭けているのかもしれない。

 中国はかつて、1991年のフィリピンの米軍基地閉鎖を利用し、南シナ海の広大な海域に対し国際法の裏付けのない「九段線」の再主張を始めた。このような主張の拡大は、単にエネルギーや天然資源のためになされているのではなく、もっと大きな狙いがある。中国の海洋戦略は長年、台湾への海からのアプローチを確保し、西太平洋における敵の行動の自由を拒否し、中国の海岸における通信を守ることであった。しかし、過去20年間、南シナ海の大部分の支配は、核戦略とも結びついてきた。

 陸の発射装置が破壊された場合の備えとなる長距離大陸間弾道ミサイル搭載の潜水艦を作戦可能な状態にしておくには、南シナ海を押さえていなければならない、というのが南シナ海における執拗な拡張の理由である。

 過去17年、中国は海南島の玉林に防衛能力の高い潜水艦基地を建設してきた。ここ7年、094型晋級原潜の導入を徐々に進めている。同潜水艦は、射程8000キロの弾道ミサイルを搭載でき、中国近海から米国本土の一部を標的にすることができる。2020年までには8隻が就役すると見られる。

 多くの他国がこの地域に戦略的利害を持っており、中国との衝突の危険に直面している。例えば、日本に輸入された石油の大部分は南シナ海を通って運ばれるから、中国が南シナ海を押さえてしまえば、日本の安全は深刻に損なわれる。

 海自が、5月に南シナ海にヘリ搭載護衛艦「いずも」を南シナ海に派遣し米海軍と合同演習をすると発表したのは偶然ではない。ヘリ搭載護衛艦の主たる任務は偵察と人道支援だが、対潜水艦戦のプラットフォームとしても使用し得る。

 中国の嫌がらせ戦術は、単なる領域や天然資源への欲望を遥かに超え、重大で対立的な戦略的考慮を見据えている。南シナ海はひしめき合い、各国政府は気をもんでいる。台湾にとり危険な時である。

出典:‘China’s South China Sea strategy’(Taipei Times, March 19, 2017)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2017/03/19/2003667037/1

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