世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月21日

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 台湾は南シナ海と東シナ海を扼する位置にあり、これら海域とともに西太平洋における戦略上の要衝です。その中でも、本社説が指摘するように、特に、南シナ海の支配は中国の核戦略と不可分に結びついている、というのは的確な指摘でしょう。

 地政学的に見て、ミサイルや核を搭載した中国の潜水艦が、西太平洋に出ようとするとき、海南島の基地から出発して南シナ海を通過し、宮古海峡を越えて太平洋に出るのが普通です。

 中国としては、長距離大陸間弾道核・ミサイル搭載の潜水艦を作戦可能な状況においておくためには、まず、南シナ海を押さえておく必要があります。そして、さらに可能であれば、台湾の東海岸の港湾を自由に使用したいところでしょう。台湾島の東海岸は切り立った断崖となっており、そこからすぐに太平洋の深海底へとつながっていて、潜水艦の行動が容易には察知できない形状になっているからです。

 本社説の指摘するとおり、中国の潜水艦能力は一層向上し、今では射程8000キロの弾道ミサイルを南シナ海から直接、米国本土の一部を標的にして発射することができるまでになったと言われます。

 日本にとっては、輸入される石油の大部分が南シナ海を通過して運ばれるので、中国が南シナ海を押さえれば、日本の安全にとっての脅威となります。今年5月に日本の海自が南シナ海にヘリ搭載護衛艦を派遣し、米海軍と合同演習するとの報道は歓迎すべきものです。

 南シナ海における中国の軍事拠点化の拡大を非難したトランプ政権が中国の軍事的膨張に対し、今後、いかなる具体的対抗措置をとるのか注目されるのは当然です。

 中国は、「九段線」と呼ばれる、かつて蒋介石政権が一方的に引いた線を根拠に、南シナ海の大部分を自らの領海、排他的経済水域として軍事拠点化を図ることに余念がありません。そして、ハーグの国際仲裁裁判所の裁定受け入れを拒絶し、海洋法条約等国際ルールを完全に無視する対応をとっています。

 台湾にとっては、中国のこのような軍事行動が台湾の安全を直接脅かすものとなっています。中国は最近、空母「遼寧」を使って、台湾島周辺海域を一周させ台湾を威圧したばかりです。

  
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