定年バックパッカー海外放浪記

2017年5月7日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

それぞれの思いを抱えた3人の韓国の若者

 4月15日から22日まで私はインド東ベンガル州の紅茶で有名なダージリンに滞在。安宿の4人部屋で3人の韓国人の若者と同宿となった。彼らのプロフィールは私がこれまでバックパッカー旅行で出会った韓国若者の平均像と一致していた。すなわち韓国の普通の快活で明朗な若者達であった。

ダージリンの町から望むヒマラヤのカンチェンジュンガ峰8586m

 彼らと話しているうちに韓国人の思考回路がとても経済先進国とは思えない不思議なものであることが分かってきた。先ずは3人のプロフィールから紹介しよう。

 韓国人バックパッカーの定番コースを歩むキューちゃん:北朝鮮との国境に近い地方の町の出身で大学には進学せずにアルバイトをしては世界各地を旅行している21歳の男子。彼は時間があれば英語の小説を辞書片手に読んで英語を学習していた。

 日本には四回訪れており大の日本ファン。日本食が大好物。将来何をしたいのかはこれから探してゆくという。今回の旅が終わったら秋から兵役に就く予定だ。

 富裕層出身、迷える脚本家志望のチェリ君:ソウルにある芸術大学で油絵を専攻している大学2年生。ソウルの裕福な家庭で育ったらしく真面目な受け答えをする。チェリ君の母親は中国大陸出身で父親と結婚後韓国籍に帰化したという経歴。彼女は財閥系商社で中国関係の仕事をしているキャリアウーマン。

 チェリ君は油絵を専攻したが入学したら定型的な課題制作が嫌になった。今年6月に2年の課程を終了したら7月から兵役に就いて復学後は脚本・シナリオ制作を学ぶ学科に転向したいという。

 ちょっとイイ感じのアラサー女子プリア:3人目は釜山近郊出身、30歳の看護師のプリアさん。身長が165センチくらいでロングヘヤーにスレンダーボディー。ちょっとイイ感じの女子である。彼女は仕事を始めてから毎年1カ月くらいの休暇を取っては海外旅行をしてきたが、今回は大手病院を辞めて一年間の予定で世界一周旅行中。

走行中のトイ・トレイン。蒸気機関車の先頭部分には少年が身を乗り出して線路上の障害物をチェックしている

北朝鮮危機には無関心な韓国人の心情

 4月17日に安倍首相が北朝鮮有事に備えて関係閣僚に対応策を指示したことに韓国政府が「北朝鮮を徒に刺激して朝鮮半島情勢を悪化させる無思慮な態度」と非難したことがニュースとなった。日本のメディアでは北朝鮮問題に鈍感な韓国国民に疑問を呈するコメントがなされていた。

ダージリンの茶摘み。原木は19世紀初頭イギリス東インド会社が中国から輸入。 4月の収穫は最高級品の一番茶(first flush)と呼ばれる

 数日後夕食のあとで韓国若者男女3人と雑談中に「アベはなぜ軽率な発言ばかりするのか理解できません」とチェリ君が小生に疑問を投げてきた。チェリ君はキャンドル革命での集会に5回参加したという政治意識が高い青年だ。他の2人も全く同感と小生の反応に興味津々。

 「北朝鮮が戦争を挑発する危険な行動に出ていることに韓国民は危機感を抱いていないの」と逆に尋ねると「北朝鮮危機はクレージーなトランプとアメリカ軍部が煽っているのが原因。韓国次期大統領候補は太陽政策を掲げて北朝鮮との話し合いを表明しているのでアメリカが静観していれば平和的に事態は収拾します。日本はいつも米国に追従して事態を混乱させる行動を採るので韓国国民は不愉快に感じています」と逆に米国と日本を批判。

 話し合いで解決できると妄信しているようだ。中国が尖閣を攻撃してきたら話し合えばいいと主張していた横浜の青年弁護士を思い出した(続地中海編第3回ご参照)。あまりに素朴な楽観論と当事者意識の欠如に言葉を失った。

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