田部康喜のTV読本

2017年5月10日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 マンションの食卓に向かい合って、うどんを食べる夫の渡辺涼太(東出昌大)と妻の美都(みつ・波瑠)。

涼太 「みっちゃんの友達がくれたうどん、おいしいね。お母さんにとっておこうか」
美都 「いいよ。全部食べちゃおう」
涼太 「そんなに食べたら、柴犬が秋田犬になっちゃうよ」

 美都からは見えないテーブルの下で、涼太は膝の上で両手を力いっぱい握りしめながら、怒りを抑えて平静を装っている。

 うどんは美都の小学校、中学校時代の幼馴染で、不倫相手の有島光軌(鈴木伸之)からもらったものだった。

Hemera

 清純派の波瑠が不倫妻を演じる「あなたのことはそれほど」(TBS:毎週火曜夜10時)は、眼科で医療事務をしている美都に、患者だったインテリア会社の総務部員である、涼太が一目ぼれして結婚し、ホームドラマのスタートのようにみえた。

 それも束の間で、第3回(5月2日)に至って、涼太が美都の不倫に気づき、隠れていた狂気が画面に漂ってくる。ドラマは一転して、サスペンスの物語になっていくようである。

「二番目に好きな人」と結婚した美都

 結婚前に美都は、占い師から「二番目に好きな人と結婚すると幸せになる」と告げられる。中学時代に突然、転校してしまった有島(鈴木伸之)のことが忘れられない。有島が一番で、涼太が二番ということになる。

 ファストフード店で偶然に有島と再開した、美都は誘われるままにラブホテルに。さらには涼太には「親友の飯田香子(きょうこ・大政絢)と旅行に行く」と嘘をついて、有島と温泉にいってしまう。

 美都の背中に唇を寄せる有島、海を見渡す個室の露天風呂に入るふたり……。波瑠のラブシーンは毎回のお約束である。いやらしさがないのは、波瑠の演じる美都のちょっととぼけた人柄の設定にある。

 不倫旅行先の宿で深夜、有島のスマートフォンの呼び出し音が鳴る。

有島 「ごめん、帰らなきゃ。これから行かなくちゃ。子どもが生まれるんだ」
美都 「わたしも結婚しているから。無茶なことはいわないから安心して」
有島 「よかった」

 美都がはずした結婚指輪を箱に入れたまま、有島に差し出すように見せるのだった。

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