世界のさまざまな出来事の背景には多かれ少なかれ人口問題が存在している。先進国を悩ます低出生力、国際紛争、移民・難民、地球環境問題を考える上で、人口は避けて通ることのできない重要な要因である。
国連の推計によれば2100年の世界人口は100億人を超えるとされる(現在は72億人)。1秒間に3~4人ずつ人口が増えてゆく一方で、ロシアや日本のように人口が減少に転じた国がある。先進国の人口減少は一国の経済規模の縮小を懸念させ、新興国・途上国の人口増加はエネルギー資源、環境資源の枯渇を懸念させる。世界を挙げて「持続可能な開発」が唱えられているが、それは実現可能なのだろうか。
上智大学の学生たちの熱い関心を集めた「人口学講義」をコンパクトにまとめ、21世紀の世界と日本の行方を人口学から照射する。