<好評4刷>(2011年10月)
さまざまな生物のなかで、人間だけが飛行機を飛ばしたり、戦争をしたり、学問をしたりしています。人間は、なぜかくも複雑な存在なのでしょうか? このことを考えるにあたっては、人間という存在をつき動かしている「心」を解明することが必至です。
本書は、従来、哲学や心理学、社会学など人文社会系の学問で膨大な蓄積がなされてきた「心とは何か」という問題にたいして、生物学からアプローチをする一冊です。
第一部では、動物行動学の事例から、さまざまな生き物の“心”とは何かを探ります。たとえば、女王アリを守るべく秩序正しい社会性を保つアリ、匂い(フェロモン成分)を介してコミュニケーションを図るイヌなどの行動には、“心”とも言うべき行動が見て取れます。
第二部の鼎談では、そうした事例を踏まえながら、そもそも生き物の“心”をどのように捉えるのか、他者の“心”に対する理解はどのようになされるべきか、ということについて、生物学、認知科学、哲学の見地から議論を行います。
人間の心を解明し、よりよい人間観を獲得していくことは、今後の現代社会のありようにも大きく関わるものとなるはずです。