前向きに読み解く経済の裏側

2017年10月29日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 老後の資金がどれくらい必要か、考えたことがありますか? 自分の年金の額を知っていますか? 自分の老後資金は足りないと思いますか? それはなぜでしょう? もしかして、「老後資金が足りないから、投資で増やしましょう」などといった勧誘にビビっていませんか? まずは、客観的に自分の老後を見つめてみましょう。『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、解説します。

(itasun/iStock)

老後資金は1億円必要

 「老後資金は1億円必要だ」と言われます。それは、おそらく本当です。60歳時点の平均余命は男性が24年、女性が29年です。これから医学が進歩して平均余命が伸びるかもしれませんし、読者が「たまたま」平均より長生きするかも知れません。そこで本稿では、夫が60歳で定年を迎え、同年齢の妻が92歳で他界するとします。その間、1カ月25万円で生活するとすれば、1年間で300万円、32年間で9600万円です。400万円くらいは万が一の時のために持っておきたいですし、何事もなければ葬式代として遺産に遺したいですから、合計で1億円になるわけです。

 「大変だ。自分は1億円も持っていない」と思った人もいるでしょうが、御安心下さい。今の高齢者で、現役時代に1億円持っていた人は稀ですが、それでもほとんどの高齢者は何とか暮らしています。むしろ、高齢社会白書によれば、多くの高齢者が暮らし向きのアンケートに「まったく心配ない」「それほど心配ない」と答えているのです。

サラリーマンは退職金も年金も頼りになる

 日本企業は年功序列賃金ですから、40代、50代になると結構高い給料がもらえます。また、サラリーマンには退職金がはいります。違和感を感じる人も多いでしょうが、厚生労働省の統計によれば大卒で2000万円超、高卒事務系の平均も2000万円程度だそうです。不謹慎ではありますが、親が他界した時に遺産が受け取れるかもしれません。これは本当に人それぞれでしょうが、日本の高齢者は平均すれば結構な資産を持っています。「100歳を超えて長生きした時にも老後資金が底を突かないように」と倹約していますが、実際には100歳を超えて生きる人は稀ですので、その分が遺産として残るのです。

 そして何より、サラリーマンは年金が頼りになります。厚生労働省によれば、サラリーマンの夫が標準的な報酬(賞与含む月額換算で36万円)で40年間就業し、妻がその間すべて専業主婦であった世帯が受け取る年金は、夫婦合計で22万円程度とされています。老後の生活費としては若干心もとないですが、暮らしていけない金額ではありませんね。

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