WEDGE REPORT

2017年12月25日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

「大国中国の夢を共にする小国韓国」
韓国内からは低姿勢、事大主義との批判

 12月15日、文大統領は北京大学を訪問し、両国関係について話し、中国を持ち上げ、中国と韓国の因縁、友好的な交流状況などを紹介した。この中で文大統領は、南京大虐殺について言及し、また、1932年に上海で日本軍首脳部に爆弾を投げ暗殺した朝鮮人独立運動家を紹介しながら、中国と韓国が共に戦った「抗日」の歴史を強調している。日本にはトランプアメリカ大統領の訪韓時、韓国側が接待に登場させた「独島エビ」や「(元従軍)慰安婦おばあさん」のハグのデジャヴを見ているように映ったことだろう。

 だが、韓国人が驚いたポイントは、日本に関連した部分ではなく、以下の部分だ。

 中国は中国だけではなく周辺国と共にあるときに、その存在が光る国家です。私は 「中国の夢」が 中国だけではなく全アジア、そして全人類と共に見る夢になることを期待します。(中略)韓国も小さな国ではありますが、責任のある中堅国家として、その夢を共にします。(中略)毛沢東主席が率いた大長征にも朝鮮人青年が行動を共にしました。韓国の抗日軍事学校である「新興武官学校」出身で広州蜂起(広東コミューン)にも参加した金山(キム・サン)です。彼は延安で抗日軍政大学の教授を務めた中国共産党の同志です(北京大での文大統領の演説内容)。

 まず、「中国の夢」とは、2012年習近平主席が使用した言葉で、「中華民族の偉大なる復興」を意味する。それに対し称賛を送ることは何の問題もない。訪問国に対する「社交辞令」は欠かせないものだからである。韓国で問題となっているのは、「韓国は小さな国だが、中国と夢を共にする」という部分だ。

 中国が、人口からみても、経済規模からみても、面積からみても大国であるということは誰の目にも明らかな事実だ。だが中国と夢を共にするというのは、価値観や目標を共にする、少なくとも共感するという意味だ。果たして韓国人の中に中国の言論、思想、ネットの統制や監視に共感する人がいるだろうか。

 そして、相手国を「大国」と言い、自国を「小さな国だが大きな国の夢と共にする(ついて行く)」と表現する指導者は、これまでの韓国にはいなかった。いくら「社交辞令」だとは言っても、あまりにも自国を卑下した、事大主義的発言だということだ。仮に、このような表現をアメリカや日本で使用したら、間違いなく国内から「屈辱外交だ」という厳しい非難を受けることになるだろう。

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