前向きに読み解く経済の裏側

2018年2月7日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

バブルの芽が出来始めていた可能性は大

 今次暴落前、「米国株はバブルか否か」といった論争が行なわれ始めていました。たとえば2月4日の日経ヴェリタスセレクトは、『大論戦 米国株はバブルか』という記事を掲載していました。今思えば、あまりに絶妙なタイミングでしたね(笑)。

 バブルの定義次第、という面がありますが、こういう論争が行われていたということは、多くの人々が米国株は割高であると感じた上で、「合理的に説明できる割高なのか否か」「通常の株価の上下動の範囲内なのか否か」を論じていた、ということでしょう。

 バブルであったのか否かは、筆者の判断できることではなさそうですが、仮にバブルの芽が発生していたのだとすれば、「早期に摘み取ることができて良かった」と前向きに考えることも可能でしょう。大きな損失を出して頭を抱えている投資家の方々にお叱りをいただくかもしれませんが。

(Drew Angerer/Getty Images)

最近のバブルは、そうと気付かずに膨らむ

 バブルには、2種類あります。1つは誰もがバブルだと知っているものです。「どう考えても高すぎるが、明日はさらに値上がりするだろうから、今日買って明日売ろう」と人々が考えている場合です。

 「強欲な愚か者が欲の皮を突っ張らせている」といった印象を持つ人も多いでしょうが、理論的には馬鹿げた投資行動ではなく、ニュートンも投資していたほどです。経済学では「合理的バブル」と呼ばれています。

 もっとも、こうしたバブルは最近では見かけません。誰が見てもバブルだとわかる物は、政府・中央銀行が早めに潰すからです。

 今ひとつは、筆者が「惚れ込み型バブル」と呼んでいるものです。「平成バブル」の時は「日本経済は世界1だ。21世紀は日本の時代だ。だから日本の株や土地が高いのは当然だ」と思った人々が株や土地を買ったのです。

 人々は、バブルだとは思っていなかったのです。バブルだと思っていたら、株式投資をする人はいたでしょうが、自宅を買う人はいなかったはずです。バブルが崩壊してからゆっくり買えば良いわけですから。しかし当時は、日本経済を動かしていたような賢い人々の中にも、自宅を買った人は大勢いたのです。

 こうしたバブルは、そもそも政府・中央銀行がバブルだと気付かないので潰そうと思いませんし、仮に思ったとしても、人々は株価が上がってハッピーですから、「どうして俺たちの幸せの邪魔をするのだ」という批判が盛り上がります。その時に「これはバブルだから潰すのだ」と言っても、「バブルだと証明出来ないなら黙ってろ」と言われてしまいます。そうして、人々がバブルだと気付かない間にバブルが大きくなってしまうと、悲劇が起きるのです。

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