変わる、キャリア教育

2018年2月21日

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福島創太 (ふくしま・そうた)

1988年生まれ。教育社会学者。早稲田大学法学部卒業後、株式会社リクルートに入社。転職サイト「リクナビNEXT」の企画開発等に携わる。退社後、東京大学大学院教育学研究科修士課程比較教育社会学コースに入学し、修了。現在は株式会社教育と探求社で、中高生向けのキャリア教育プログラムの開発に従事しつつ、同大学院博士課程に在学中。近著に『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか―キャリア思考と自己責任の罠』

 「ゴキブリが体内に持つ抗菌物質を家造りに活かしてはいかがでしょうか? ゴキブリが3億年以上も生きながらえているのは、プラッタバクテリウムという抗菌物質と脂肪酸のおかげです。これらを家造りに活かせば圧倒的に清潔な家造りが実現できます。さらに、これらの物質を浸透させたシートを途上国の仮設住宅などで活用すれば、国連が定めたSDGsの達成にも寄与します」。

 裏付けとなるデータや研究、ビジネスモデルも盛り込みながら、この奇抜で本質的な企画を大和ハウスに提案したのは、高校2年生だった。

(*画像はイメージです  iStock/monkeybusinessimages)

民間企業と学校の協働、
企業のリソースを活用したキャリア教育の実態

 あるいは、テレビ東京から国際社会の課題を解決する企画の提案を課題として出された高校1年生は世界共通教科書を提案した。メディアの特性を活かして、特定のテーマで討論番組を放送し、それに対する各国の国民の認識や意見を集約。生の情報を元にアップデートしながらつくっていく、「人々に考えさせる教科書」がコンセプトだそうだ。国際問題が激化していくなかで、その背景には互いの文化の違いや認識の違いがある。その認識の違いを再生産する装置の1つが教科書であると彼らは考えたのだろう。歴史認識や社会問題への意見の違いを、できるだけ若い時期からディスカッションし、生の声を元に異国の文化や考え方を知り、相互理解を深めることは間違いなく国際社会の課題解決に対する本質的なソリューションである。「大切なのは正しい歴史を導くのではなく、相互理解を促進すること」という彼らのメッセージには多くの大人が考えさせられた。

 自分の購買行動がマクロな経済活動にどんな影響をおよぼすかをリアルタイムに知ることができるサービスを、「10年後の日経電子版」として日本経済新聞に提案したのは中学3年生だった。この提案を2012年に思いついてたということ、そしてこの企画を生み出すために400名以上にアンケートをしていたということが驚きである。

 彼らはこうした企画を、自分が所属する学校の通常授業の中で考え、最終的には企業に対して提案をしている。これらは前回の記事で紹介した、民間企業と学校の協働、企業のリソースを活用したキャリア教育の1つである。

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