世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月7日

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 本件は、NATO国防大臣会議を終えてのマティス米国防長官の記者会見の冒頭ブリーフの要点です。マティス長官は、NATOの軍事力強化を訴え、その中で、米国の核戦力の維持とNATO各国の防衛予算の分担が約束されたことを強調しました。トランプ政権が求めてきた安全保障戦略がNATO内でもコンセンサスが得られたということなのでしょう。国防予算をGDP比2%に全てのNATO加盟国が2024年までに達成するとの目標に関しては、多くの諸国が賛同して約束しました。が、ドイツについては明確な達成年が示されなかったようで、冒頭ブリーフ後の記者からの質問で、そのことが問われました。マティス長官は、民主主義国と言ってもそれぞれの政治的プロセス、予算の立て方が異なるのでとドイツに理解を示しつつも、ドイツの経済力や指導力から相応の役割を期待すると付け加えることを忘れませんでした。冒頭に、フランスは2025年までに2%を達成すると、フランスのみを名指ししたことでも、暗にドイツへ防衛費増強のエールを送ったのかもしれません。

 テロとの闘いでは、今でもアフガニスタンとイラクがNATO内での主要課題であったようですが、記者からは、それに加え、シリア問題におけるイランの動きやトルコ国防大臣との会談に関して質問が出されました。マティス長官の言葉からは、イランがシリアのみならず中東各地で情勢を混乱させていることへの不満が読み取れます。そして、米国としては、シリアは、シリア人が将来を決めることが重要で、それは国連のジュネーヴ合意に基づくプロセスで行われるべきであると述べています。イラクに関しても、イラクの将来はイラク人が決めるべきであると、イランの影響力を牽制しています。トルコとの関係については、マティス国防長官としては、対シリア問題で協力したいようです。

 マティス長官の冒頭ブリーフでは、最近発表されたNPR2018を含む米国の核戦力に関しても触れられましたが、出席記者達からは核に関する質問はされませんでした。核戦力を維持し近代化させることを、欧米や中東の記者達は、当然のことにとらえているのでしょうか。また、今回、マティス長官の冒頭ブリーフでも記者の質問でも、中国、ロシア、北朝鮮には触れられませんでした。

  
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