世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月21日

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 イランのザリフ外相が、1月22日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、ISIS敗退の期を捉え中東は対話と信頼醸成に転換すべきだとして、「ペルシャ湾地域フォーラム」の設置を提案しています。主要点は次の通りです。

(iStock.com/Dorling Kindersley/kevinmayer/BananaStock/Jupiterimages/tompet80/elena_hramowa)

 ISISの敗北により大部分の中東地域に安定が戻った。

 ISISの問題は協力の機会を提供した。築かれた協力関係は新しい時代を拓くことが出来る。我々はポスト西欧国際秩序へ移行する世界において新たなアプローチを必要としている。西アジアの新パラダイムの概念は二つある。一つは「強い地域」であり、二つ目は「安全保障ネットワーク」である。これらにより小国も大国も、対立関係にある国も皆、地域の安定に貢献することができる。

 強い地域の目的は、覇権の追求や特定国の排除ではなく、すべての利害関係国の利益を尊重することにある。一国による支配行為は不適切、不可能である。他国に追随を強要することは不安定を引き起こす。対立関係は軍拡競争になるし、重要資源の軍事生産への使用は平和と安全には何ら貢献して来なかった。

 今までのような同盟構築は時代遅れだ。集団安全保障はもはや通用しない。それは利益の共通性を前提としているという基本的な理由により、ペルシャ湾地域では通用しない。安全保障のネットワークというのがイランの考えである。そのパラダイムは簡単である。相違を受け入れることである。包含主義に立ち少数の大国の出現を防ぎ、小国の参加を許すものだ。新秩序のルールは明解である。最も重要なことは国連憲章の目的と原則であり、主権の平等、武力の威嚇や行使の禁止、領土の保全、内政不干渉、各国内の民族自決の尊重等である。

 安全保障ネットワークは夢ではない。それこそが域外勢力、排他的同盟関係と安全保障の幻想に依存する悪循環から抜け出す唯一の方法だ。他国、特に欧州の隣国には域内国にこのことを働きかけて貰いたい。

 対話、信頼醸成に目を向けるべきだ。西アジアではすべてのレベルで対話が欠けている。対話は我々すべてが同様の懸念、恐怖、理想、希望を持っていることを明確にするだろう。対話は、観光振興や、原子力安全、災害管理等の諸問題に関する協力、軍事交流、軍備の透明性等、そして究極的には不可侵条約の締結といった信頼醸成措置を伴って推進されねばならない。

 イランは第一歩として「ペルシャ湾地域フォーラム」の結成を提案する。この提案は開かれたもので、近隣諸国等が支持することを期待する。

出典:Mohammad Javad Zarif ‘Iran can set a post-Isis security policy for the region’ (Financial Times, January 22, 2018)
https://www.ft.com/content/c0b6bc36-fead-11e7-9650-9c0ad2d7c5b5

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