中東を読み解く

2018年1月30日

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 アフガニスタンでイスラム過激派タリバンによるテロが止まらない。その背景として、トランプ米政権によるパキスタンへの軍事援助停止などの圧力に対する報復ではないか、との見方が強まっている。パキスタンが背後でタリバンを使って、アフガン情勢を操っているというのだ。

多くの人で賑わうカブール市街(Andrew Renneisen/Getty Images)

民間人、1日平均10人が犠牲

 それにしてもこのところのテロの激化は凄まじい。20日に首都カブールの高級ホテル「インターコンチネンタル・ホテル」がタリバンの武装集団に襲撃され、外国人ら22人が犠牲になったのをふり出しに、27日には同じカブールの中心街で自爆テロがあり、103人が死亡、235人が重軽傷を負った。これもタリバンが犯行声明を出した。

 このテロは救急車に爆弾を満載し、警察の検問をすり抜けて爆発させた。タリバンは「トランプとその手下たちへのメッセージだ」との声明を出した。この事件の後片付けもできていない29日未明、今度はカブールの丘の上に立つ軍士官学校が自爆テロに襲われ、アフガン軍兵士11人が死亡する事件が発生した。

 士官学校へのテロ攻撃は過激派組織「イスラム国」のアフガン分派が犯行声明を出したが、一部アフガン当局者はタリバンの最強硬派「ハッカニ・グループ」の犯行との見方を強めている。IS分派だとすれば、昨年末にカブールで相次いで自爆テロを起こし、約40人を殺害した事件に続く犯行だ。

 アフガンの治安は悪化の一途だが、国連などによると、昨年の最初の9カ月間のテロなどによる民間人の死者は1日平均10人に上る。アフガン治安部隊の死者も過去1年で1万人を超えており、このままでは、今年はこれを上回る最悪のペースになりかねない。

 タリバンとの戦闘は例年、雪に覆われる冬には下火になるが、この冬は過去16年のタリバンとの戦争で初めて、米軍の空爆が縮小されなかった。それどころか、米紙によると、空爆は12月だけで455回(昨年65回)に上った。これは、トランプ大統領が昨年8月に発表した「新アフガン戦略」に基づくもの攻撃強化の一環だ。8月から12月までの空爆は2015、16年の合計2000回とほぼ同じ回数だ。

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