世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年1月19日

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 Center for a New American Security上席研究員のGoldenbergが、12月7日付のフォーリン・ポリシーで、イランとサウジが中東を不安定化させるような行動を控えるよう米国は努めるべきであると言っています。要旨は以下の通りです。

(iStock.com/Ilyabolotov/Fourleaflover/Jupiterimages)

 オバマはイランとサウジが利害を共有できないかと図って失敗し、トランプはイランに対決姿勢を示す一方でサウジを無条件で支持し、情勢を悪化させている。この二つの極端の間に位置する政策が成功する可能性がある。

 イランとサウジの競争は2011年のアラブの春で激化した。

 イランはアラブの同盟国であるシリアのアサドが失われれば、ヒズボラへの供給路が断たれることを恐れた。またイランは、国境から近い地点でのISの台頭を、国家安全保障上の緊急事態と考えた。

 サウジも事態に狼狽した。ムバラクの失脚を米国が信頼できる専制主義者を見限ったものと考え、次はサウジではないかと恐れた。不安定化の多くにイランの影響を見、特にサウジ東部でのシーア少数派を懸念した。と同時にサウジはイランの最も緊密な同盟国のシリアの崩壊を期待した。

 結果、過去7年間の中東での紛争はイラン・サウジの競合の影響を受けた。

 オバマはイランの核開発阻止を最優先させ、中東で紛争に巻き込まれるリスクを避けた。イランは核合意を追求しつつ、地域での影響力の増大を図った。

 サウジはイランの核交渉を、米国が軸足をサウジからイランに移したものと考え不安に駆られ、シリア、バーレーン、イエメンで攻撃的行動に出た。

 イランと対決し、サウジを無条件で支持するトランプの政策は悪い情勢を一層悪化させた。イランもサウジも一層攻撃的になった。トランプ政権が戦略を変え、地域紛争の拡大をより有効に管理するのに遅すぎることはない。

 イランについては、地域での圧力と関与を組み合わせ、イランの行動を改めさせるべきである。例えばイエメンへの武器輸出をより積極的に阻止すべきである。シリアにおいてはイスラエルの南西部の国境に近づかないよう明確なメッセージを発するべきである。そしてイランに内々米国のレッドラインを知らせるべきである。これは過去イランがホルムズ海峡で挑発的な演習をした時、イラクのシーア派民兵組織に武器を供与し始めた時に行われた。米国の強いメッセージと直接行動の結果、イランは米国との軍事対決を恐れ、行動を変えた。同時に、イランと交渉する用意があることを示すべきである。ケリー前国務長官とザリフ外務大臣間にあった直接の連絡パイプを再開すべきである。

 サウジについては、地域での白紙委任状はないことを明確にすべきである。米国はイランに対抗するためサウジと協力できるが、同時にサウジがイエメンの封鎖を終わらせ、政治的話し合いをするよう図るべきである。サウジはカタールと不必要な紛争を始めてレバノンを不安定化させたが、そのような行動を取る前に、米国と協議するよう伝えるべきである。

 これらはいずれも容易ではなく、米国がイランとサウジの対立を解消できる保証はない。しかし米国は、イランとサウジが事態を不安定化させる行動を取らないように、イランを抑止しサウジを抑制する政策は追求できる。

出典:Ilan Goldenberg ‘Here’s How Both Obama and Trump Stoked the Saudi-Iranian Rivalry’ (Foreign Policy, December 7, 2017)
http://foreignpolicy.com/2017/12/07/heres-how-both-obama-and-trump-stoked-the-saudi-iranian-rivalry/

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