山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2018年3月23日

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 2003年から2013年までの10年間は、ほぼすべての資源価格が高騰した時代であった。その後、市況は冴えない展開が続いていた。そして、2017年の春先にレアメタル相場は大底をつけたとみている。

 2003年に始まり2013年に終わった資源のスーパーサイクルが下落した後、2017年までは4年間もウンともスンとも言わない「底練り」相場が続いた。モノが動かないとメタルトレーダーは干上がってしまう。この厳しいレアメタル不況のトンネルを潜り抜けて昨年の後半からやっと春がやってきたのだ。休養充分で新たなスーパーサイクルが始まった雰囲気である。ここでこのスーパーサイクルを理解するために過去の歴史を検証してみたい。

ロシアのマガダン金鉱山
 

過去のスーパーサイクルとは?

 かつてコモディティ(鉄鉱石や銅など)の価格上昇は1910年代、1940年代、1970年代にあり30年周期でスーパーサイクルが繰り返されてきた。

 1910年代のスーパーサイクルは、19世紀後半の米国の工業化と都市化、1940年代のサイクルは第2次世界大戦、そして1960年代は日本の復興と関連していたようだ。そして、2000年代のスーパーサイクルは、1980年代の改革開放を経た中国の急速な工業化と都市化に大きく由来している。

 同時にBRIC’Sが地球人口を押し上げ70億人が100億人になるのは時間の問題であり、人口が増加すればエネルギー消費は待ったなしで増えるのだから、石油も非鉄も穀物もすべてのコモディティーの価格は高騰すると予測したわけである。

 2000年の金融危機が終わった後に突如として資源価格が上昇しはじめたが、2003年に売り出されたジムロジャースの『商品の時代』でも資源(商品)へのトレンドが注目されて資源なら何でも「買い」が先行するような空気になっていった。

相場の変動を研究して苦しんだ日々

 その2000年の時期に筆者は苦しい選択を迫られた。

 当時は未曽有の不況でITブームが終わった後の景気は一向に上向かずに日本経済は不況に喘いでいた。深刻な金融危機のために中堅商社の蝶理(筆者の前職)は資産の売却を迫られていた。当時の商社のビジネスモデルが時代遅れになっていたのかもしれない。

 レアメタル事業そのものはそれほど悪くはなかったが社内ではレアメタル部門ごと他社に売り渡すという話が進んでいた。当時レアメタル部門の部長をしていた筆者も資金が回らないので業務を打ち切るか部門をM&Aで売り渡すかの決断を迫られた。

 筆者としては確信があったわけではなかったが、なんとなくレアメタル市場はV字回復するのではないかという希望的観測をしていたので部門ごとMBOで独立させる決断をした。

 はたしてレアメタル市場は奇跡的に回復した。1年早ければ失敗だったし、1年遅ければ遅きに失する結果となったはずだ。当時を思い出すと毎晩遅くまでレアメタル市況チャートを眺めながら憑き物につかれたようにコモディティーの動向に一喜一憂していた時期が続いた。

 相場の研究をすることは嫌いではなかったが、実際に体験してみると健康に良い訳はない。当然ながら十二指腸潰瘍が悪化していたが気力で独立後の経営を乗り切ったのである。「相場の心得」として会得したことは「死中に活を見出す」ということであった。

 そして、独立を果たした直後から資源のスーパーサイクルの上昇が始まった。しかもその後10年間は続いたから行き先が見えなかった海賊船(AMJ)は順風満帆の航海を続けることができた。

 しかしながら資源サイクルの終わった2014年からは鳴かず飛ばずの状況が続いた。良いこともあれば悪いこともあるものだが正に「禍福はあざなえる縄の如し」であった。

ここしばらくはレアメタル相場が活況だ!

DRコンゴのタンタル採掘現場
 

 デジタル化社会の本格的到来で必要な素材の囲い込みが始まっている。資源制約もあるので早め早めに資源を取り込む動きが市場では具体化しつつある。

 そんな環境の中でEV(電気自動車)や携帯電話(スマホ)の世界では次々に技術革新が興り新しい機能が発表されるようになった。

 同時に我々の生活の中の買い物や交通や医療や教育、金融、製造などの「モノ」がインターネットで繋がってきたこうした現象のことをIoTと呼び始めている。

 つまりすべての分野でデジタルサービスによる市場拡大が実現しつつあるのだ。

 どうやら時代の流れは情報技術と新エネルギーがけん引し始めたようであった。クラウドサービスに必要な人工知能やIoTやビッグデータのための情報通信技術への設備投資が激増してきたからだ。つまり次世代の情報通信とパワー半導体分野が時代をけん引するから当然レアメタル分野の機能性材料素材や電子材料素材に注目が集まりはじめたのである。

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