山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2018年3月23日

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国家資本主義の中国の戦略とは?

タッチパネルの原料になるインジウム

 中国はEVにしてもスマホにしても世界最大の生産国家であり中国自体はコバルトもリチウムもタンタルもニオブの資源は少ないが、昔からこれらの資源の獲得には注力してきた。中国は国内からの資源開発は極力抑えてアフリカなどの資源争奪戦にさらに乗り出すと予測している。

 つまり15年前の「レアメタルパニック」は圧倒的な中国自前の資源を出し惜しみすることで仕掛けた(尖閣問題のレアアースショックのように)パニックであったが、今後のレアメタルパニックは中国が地球上の資源を囲い込むことで需給バランスが不安的になってくることになるだろう。

リチウムイオン電池の原料になるコバルト

 中国の特徴は資源としてのレアメタルを確保するが、電子材料としての川下製品は日本の得意分野である。家電製品や電子材料の部品もいずれ中国が差配するようになっているが、国家資本主義で自由経済ではなく国家自体が今後とも支配するだろうから元素の中でも少ない賦存量のレアメタルから需給バランスがますます厳しくなっていくに違いない。

 この傾向から過去5年間の資源が余っていた状況が180度変わってくると予想される。つまり中国は資源をもう一度世界中から集めるが、中国というブラックホールに貯め込んで海外には出さなくなると思われるのだ。

切削工具の原料となるタングステン

 これまでの中国経済は圧倒的な生産能力を維持し、国内需要が伸びなくなればいくらでも海外市場に輸出したけれども、今後は不足している原料は爆買いしても貴重な資源は輸出には回さなくなるだろう。圧倒的な内需を満たしてから国家資本主義のメカニズムを優先させるために世界の需給バランスは資源面でも益々タイトになると予見している。この時期は1年や2年で終わらず、10年は続くと予想している。その結果、新しいレアメタルのスーパーサイクルが到来すると予見しているのだ。

日本の国家戦略を原点から考える

 いくらレアメタルのスーパーサイクルが来たからといっても、レアアースショックのような現象が起こるかというとそれはあり得ないと思っている。2012年のレアアースショックは尖閣列島の中国船の拿捕から起こった政治問題であり、国家ナショナリズムがレアアース輸出を禁止にしたという見方が正しいと思っている。今やレアアースに関する技術革新も中国のほうが進んでいるとみる専門家も多く、日本の産業界としてはレアアース産業から派生する先端産業は中国と組んで進めていくという発想に代わっているのだ。

 2012年のレアアース危機のような発想で仮に日本産業が資源を備蓄しても今となっては、「勝負アリ」といった状況で、何の意味もないと思うべきだ。

 ただし代替材料の開発とか3RとしてReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)は重要になってくるはずだ。日本としては希土類の資源は都市鉱山のなかに豊富にあるのでこれを国家戦略にまで高めて3R運動が国家備蓄だと割り切って環境にやさしいクローズドシステムを取り込み新たな国家戦略として安易に海外にスクラップを出さないような法制度を検討するべきである。

 一方、日本も産業の空洞化現象の行き過ぎを反省する動きもある。何でも中国や東南アジアに生産基地を移したが、中国の人件費の高騰を考えると必ずしも合理的ではないことに気がつきはじめた。「モノづくり」は日本国内できっちりやった方がいいに決まっているからだ。

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