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2018年4月10日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)などがある。

(iStock/Miyuki Satake)

 SNSをやっている人はご存じだと思うが、SNSには「昨年、あなたはこんな投稿をしました」という、なんともご親切な振り返り機能というものがある。先日、私のSNSにも「2年前の今日、あなたは・・・」という表示が出て、自分が2年前のその日、貴州省を訪問したときのことを突然思い出すことになった。

 貴州省といってすぐにピーンと何かを思い出す日本人はあまりいないだろう。貴州省は中国の西南部の内陸に位置する省で、広西チワン族自治区、雲南省、四川省、湖南省などに囲まれている。少数民族が多く、GDPが全国的に見て低いことから、中国の中では大きな存在感はない。だが、日本の検索サイトで「貴州省」と打つと、「貴州省日本観光センター」というサイトが上位に出てくる。貴州省の概要を日本語でコンパクトに紹介してくれるものだ。このように海外で観光PRを行っている省は少ないが、大自然の美しさといい、少数民族のきらびやかな民族衣装といい、北京や上海にはない「別の魅力」がある省といえる。

市民の台所、市場で見つけた納豆

 さて、その貴州省に滞在していた2年前、自分がSNSに投稿した写真を見て、私はギョッとした。なんと、納豆の写真を載せていたのだ! 日本の納豆ではなく、もちろん貴州省で見た納豆である。自分がそんな写真を撮ったことすらすっかり忘れていたのだが、写真を見るなり、さまざまなことを思い出した。そして、奇遇なのだが、その数日前に納豆の本を読了していたことから、頭の中で納豆に関する想像が沸き上がったのであった。

 私が納豆に出合ったのは、省都、貴陽市の外れにある小さな市場。仕事で訪れていた貴州大学から徒歩で20分ほど歩いたところだった。〇〇市場などの名称はなく、市民の台所といえるような雑然とした感じだ。道路の脇から突然、野菜を売り始める市場が始まり、進んでいくと鶏肉(生きたニワトリ)やトウガラシ、お惣菜などが売られている。細い路地に小さな店が並び、民族衣装を着たおばあさんらが買い物をしていた。

 そこに突然、納豆らしきものが現れた。

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