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2018年4月10日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)などがある。

大都市の健康志向の人も食べているかも?

 そして、知り合いによると、どうやら、ネバネバしたタイプと、乾燥したタイプの2種類あるようだ。知り合いも納豆専門家ではないので詳細まではわからなかったが、ちょうど最近読んだノンフィクション作家の高野秀行さんの本『謎のアジア納豆』に興味深い記述があった。

 それによると、納豆は日本や韓国(韓国ではチョングッチャンという)などだけでなく、中国の一部(湖南省や貴州省、雲南省など)やタイ、ミャンマー、ネパールなどでも食べられているという。山岳地帯や盆地に住む民族(中国の苗(ミャオ)族やミャンマーのシャン族など)の間で食べられてきて、せんべいのように平たくして乾燥させた納豆もあれば、ネバネバしたタイプ、蒸し納豆などもある。ネバネバしているものだけが納豆という認識は、日本人だけのイメージなのかもしれない。納豆といえども、バリエーションも豊富だし、けっこう奥が深いのだ。日本ではパックで売られていて、しかも特製のタレまでついており、すっかり国民食となっているが、中国やアジア各国ではそういう売り方はしていないし、地味な存在だ。

 全国納豆協同組合連合会のホームページを見ると、縄文時代の終わりごろには、すでに日本人は納豆のようなものを食べていたとされているが、詳細はわかっていないらしい。高野さんの本を読んだときも思ったが、案外、納豆についてはまだ解明されていないことも多く、それも驚きだった。

 ところで、納豆と中国のつながりで思い出した。2015年の爆買いブームとき、中国人は日本のドラッグストアで、たくさんの薬やサプリメントを買って帰ったが、その中に「ナットウキナーゼ」という酵素もあった。健康にいいということ、中国では売っていないということから目をつけたようだが、今、北京や上海などの大都市のスーパーに行くと、まるで日本のスーパーのように納豆がたくさん売られている。中国で生産している納豆もあったが、日本からの輸入品もある。上海高島屋の食品売り場で見かけて、その値段の高さにびっくりした記憶がある。おそらく日本人駐在員用かと思ったが、あれだけ売られているということは、健康志向の上海人も日本製の納豆を食べているかもしれない。

 都市部の中国人は経済的に豊かになり、健康にいいと聞くとすぐに飛びつくようになったが、内陸部の少数民族は、そんなこととは関係なく、はるか昔から納豆を食べていたのだ。2年前の自分の投稿をきっかけに、ふと納豆についてあれこれと思いを巡らせることになった。たかが納豆、されど納豆だ。
 

  
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