世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年6月13日

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 米国防総省は5月23日、夏に開催されるRIMPAC(環太平洋合同演習)への中国の招待を取り消したことを発表した。RIMPACは、2年毎に米海軍の主催で行われる世界最大規模の海上演習である。中国海軍は、オバマ政権時代の2014年に初めてRIMPACに正式メンバーとして招待され、2016年にも参加している。この件に関する国防総省のChristopher Logan報道官の声明は次の通りである。

(iStock.com/popovaphoto/GlobalP/ptasha/ksushsh/lvenks)

 米国は、自由で開かれたインド太平洋にコミットしている。中国による、南シナ海における係争地の継続的な軍事化は、地域の緊張と不安定を助長する一方である。中国のそうした行為への最初の対応として、我々は、中国海軍を2018年のRIMPACに招待しないことにした。中国の振る舞いは、RIMPACの原則と目的に反する。

 我々は、中国がスプラトリー諸島の係争地に対艦ミサイル、地対空ミサイル、電波妨害器を配備している、強い証拠を持っている。ウッディ島への中国の爆撃機の着陸も緊張を高めている。

 中国は、人工島の建設は、海上の安全、航行の支援、捜索・救援、漁業保護、その他、非軍事的目的のためとしているが、武器の配備は軍事的用途以外の何物でもない。

 我々は中国に、これらの軍事システムを直ちに撤去し、南シナ海の軍事化をやめるよう、求めてきた。

 係争地への最近の武器の配備と継続的な軍事化が、スプラトリー諸島を軍事化しないとの習近平国家主席の米国と世界に対する約束を破るものである。


 中国は、YJ-12B 対艦巡航ミサイル(射程545km)、 HQ-9B 地対空ミサイル(射程295km)をスプラトリー諸島のファイアリー・クロス、スービ、ミスチーフの3つの礁に配備し、パラセル諸島のウッディ島において戦略爆撃機H6Kの離着陸訓練を行うなど、南シナ海の軍事化を急速に進めている。上記3礁には、3000メートル級の滑走路も設置されている。こうした行動について中国側は、防衛目的であり軍事化ではない、と言っているが、そんな詭弁は通らない。上記声明も指摘する通り、中国の行動は、南シナ海を軍事化する意図はないとの2015年の習近平の約束に明らかに違背している。

 今回、トランプ政権は、2017年に自らが発した招待を取り消すことで、こうした中国の行動は認められないというメッセージを送った。もちろん、RIMPACへの招待を取り消したからといって、中国が南シナ海の軍事化を止めるとは到底思われない。しかし、効果の有無にかかわらず、絶えず問題提起をしていくことに意味がある。南シナ海における航行の自由作戦の実施も同様である。

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