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2018年9月11日

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ヘレン・ブリッグス、BBCニュース

健康的で良質な食事に切り替えると、個人の水の使用量が最大55%も減ることが、欧州委員会の研究で明らかになった。

イタリア・イスプラにある欧州委員会共同研究センターの最新調査によると、水を使う量は、肉食から菜食に切り替えることで最も大きく変化するが、肉の摂取量を減らすだけでも、水を使う量は少なくとも10%は減る。

地球で最も貴重な資源のひとつ、つまり水を多用する食材の消費を減らし、健康的な食生活に移行することは、人間にとって地球環境にとっても望ましい「ウィン・ウィン」だと研究チームは言う。

「お好みで肉を食べるにしろ、食べないにしろ(菜食でも魚菜食でも)、どちらにしろ健康にはその方がいいし、それだけでなく、環境にも非常に良いことだ。自分が使う水の量を大幅に減らすことになるので」と、欧州委員会共同研究センターのダビー・バナム博士は話す


研究の要点

1人が食事(国産食品と輸入食品)を通じて使う水の「足跡」(食材の生産・加工・輸送などの工程を含む)は1日あたり、英国で2757リットル。ドイツは2929リットル、フランスは3861リットル

  • 肉も食べる健康的な食事内容に切り替えると、水の使用量は11~35%少なくなる
  • 健康的な魚菜食(肉の代わりに魚と穀類をとり、動物性油脂は植物性油脂で代用する)に切り替えると、水の使用量は33~35%少なくなる
  • 健康的な菜食(肉・魚をとらず、動物性油脂は植物性油脂で代用する)にすると、水の使用量は35~55%少なくなる

淡水資源はすでに希少なものとなりつつある。しかし、人口増加や生活習慣の変化、気候変動によって問題は今後さらに悪化する見通しだ。

水を節約する方法として、シャワーを浴びる時間を短くしよう、歯を磨いている間は蛇口を閉めようなど呼びかける公共広告はおなじみで、周知もされている。

しかし、食料の生産過程でどれだけの水が使われているのかについては、まだそれほど認識されていない。家畜の飼育には水がたくさん必要だ。油脂や砂糖、脂肪を含む食材の生産も、大量の水を要する。一方で、野菜・果物の栽培の方が、水の利用効率が高い。

調査対象となった英仏独3カ国について、バナム博士は「1人の使用量は1日あたり3000~4000リットルになった。自宅で直接使う水の量と比べると、とんでもない量だ」と指摘する。

英仏独3カ国の間では結果はおおむね同じだった。つまり、欧州の人間は赤身の肉と砂糖と脂肪を食べすぎる一方で、野菜と果物の摂取量が不足していることが、あらためて確認されたという。

調査結果は、持続可能性の研究を専門とする英科学誌ネイチャー系の「Nature Sustainability」に掲載された。

食料に関連した水の消費量を、対象者の現在の食生活と推奨される食生活について調べ、さらに結果を個々の地方自治体レベルで比較。類似研究の中でも最も詳しい調査内容となった。

筆者たちは、食生活の変更を人に勧めてもなかなか受け入れられるものではないと認めている。肉食中心の生活から魚菜食や菜食中心の生活への切り替えを実現するには、単にそうした方が良いと推奨するだけではなく、体に良くない食べ物への追加課税や、成分表示の改良など、様々な具体的措置が必要だと提言している。

(英語記事 How to eat well - and save the planet

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45481428

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