WEDGE REPORT

2018年10月7日

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川端由美 (かわばた・ゆみ)

ジャーナリスト

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。

 従来のモビリティ産業とは違う新たな収益を生み出すMaaSに自動車、鉄道、ITなどから参入が相次いでいる。各国の最新の動きを追った。

 「金曜日には、オフィスの近くでcar2goを借りて、駅前にある専用駐車場に乗り捨てて、電車で遠出している。同じアプリで予約できるから便利だよね」とドイツのシュツットガルトに住むクリスチャン・ベッカーさんは語る。

 「同じアプリ」とは、ドイツ大手自動車メーカーであるダイムラー傘下の企業ムーブルの提供するアプリ「moovel」だ。

「moovel」を使うと複数の移動手段をワンストップで利用できる(写真提供・MOOVEL GROUP)

 moovelはカーシェアリングサービスの「car2go」、配車サービスの「mytaxi」、ドイツ鉄道「DB」およびドイツ鉄道のシェアリング・モビリティアプリである「Flinkster」といったモビリティサービスをワンストップで予約、決済、利用できる。

 例えば、ダイムラー博物館からシュツットガルト駅を検索すると、都市鉄道で乗り換えて約40分で到着するが、カーシェアリングのcar2goであれば約20分で到着して、駅から近い専用駐車場に止めて、電車に飛び乗ることができると案内される。

 これまでにも、ダイムラーはモビリティサービスに力を注いできた。2008年という早い段階から、乗り捨て可能で利用時間によって課金するカーシェアリングサービス「car2go」を自ら運営しており、会員数は500万人に達している。また、14年にはオンデマンドのタクシー配車サービスを運営する独mytaxiと提携し、イギリス、アイルランド、スペインなどでオンデマンド配車事業を展開する英国Hailoを合併して事業を統合した。

 16年10月のパリ・モーターショーの会場では、ダイムラーのディーター・ツェッチェ取締役兼会長が中長期の経営ビジョン「CASE」を発表した。CASEとは、Connected、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の頭文字をとったものだ。

 「これら4つは、それぞれがすべての産業をひっくり返すほどの力を持っており、これらをつなぎ目なくつなげると、本当の革命が起きる」(ツェッチェ氏)。18年5月に全世界で同社のモビリティサービスを利用した顧客は2290万人に達した。これは、前年同月比で88%もの増加にあたる。

 moovelのように、移動手段をつなげ、最適な移動を提供する「MaaS」(Mobility as a Service)が、各国で急速に台頭している。

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