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2018年10月18日

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17日にブリュッセルで行われた欧州連合(EU)加盟国首脳会議(サミット)でテリーザ・メイ英首相は、ブレグジット(英国のEU離脱)後に設定された21カ月間の移行期間を延長したい考えを示した。離脱派議員たちはこれに強く反発している。

ブレグジット交渉は現在、英国・北アイルランドとアイルランドの国境をめぐる問題でこう着状態となっている。首脳会議でも進展がなかったため、英首相官邸は移行期間の延長可能性を否定しなかった。

メイ首相はサミットで、交渉のこう着状態を打破するため、EU各国に譲歩を求めた。しかし、27加盟国は、新しい提案は英国がすべきで、合意文書をまとめるための特別サミットを11月に開くには交渉の進展が足りないと述べた。

ただし、双方とも交渉継続については合意した。

英国は2019年3月29日にEUを離脱するが、英国とEUはアイルランド国境での国境管理を回避する方策で意見が食い違っており、離脱合意もまとまっていない。

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英国は今回、EUとの新たな経済パートナーシップ協定が結ばれるまで北アイルランドとアイルランドの国境に税関を置かないための保険となる「バックストップ(防御策)」を導入することに同意した。

しかし、バックストップの具体的な内容や期限については合意に至っていない。

現時点で、ブレグジット後の移行期間は2019年3月30日から2020年12月31日まで。この期間中、英国はEUの単一市場と関税同盟のルールに則って貿易することになっている。

しかし移行期間を2021年末まで延長すれば、双方が国境問題を解決し、新たなパートナーシップに合意する時間を捻出でき、バックストップを避けられる可能性がある。

移行期間延長案への反応は?

アイルランドのリオ・バラッカー首相は、移行期間を延長してもバックストップをめぐる確固たる合意の代わりにはならないと指摘した。

一方で、「もしバックストップを使わないという保証になるならプラスの面もある」と、期間延長にはメリットもあると述べている。

しかし英国のEU離脱派は、メイ首相がまたも実質的な見返りなしにブレグジットの基盤を損ねたと批判している。

かねてからメイ首相を批判してきた保守党のナディン・ドリース下院議員はツイッターで「もしテリーザ・メイが移行期間の延長を求めたなら、彼女は失速している。今こそ脇に寄って、交渉ができて結果が出せる誰かに代わってもらう時だ。デイビッド・デービス(前EU離脱相)のことは中継ぎのリーダーとして全面支援している。私は自分のやるべきことはやった。今度は同僚にも、自分の仕事をしてもらいたい」と書いた。

https://twitter.com/NadineDorries/status/1052660704493412352


英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ元党首は、移行期間を延長すれば完全な離脱は2022年5月に予定されている総選挙まで先延ばしされ、「その先もずっと離脱できないかもしれない」と述べた。

欧州議会のアントニオ・タヤーニ議長は、メイ英首相はこの案に「中庸」の立場を取っているが、可能性を見出したいのだと示唆した。

その上で、メイ氏の建設的な姿勢を歓迎した一方、サミットの演説では「目新しいことは何も提示しなかった」と釘を刺した。

「英国とEU双方が一つの可能性として移行期間の延長という案を出しており、議題にも上っていれば、協議しなければならないものでもある」

「メイ氏は問題の重要性を強調したが、中身は何も言わなかった。移行期間の問題を考慮に入れ続けるべきだとは言ったが、3年間という期限には賛成も反対も表明していない」

英国の首相官邸は移行期間については触れなかったものの、メイ首相がEU各国の首脳に対し、現在のジレンマを解消するための創造的な方法を共に模索しようと訴えたと明らかにした。

その上で、野心的な通商協定に向けた将来の枠組みで合意することが解決への道で、そうなればバックストップを使わずにすむだろうと強調した。

メイ首相はサミットに併せ、アイルランドのバラッカー首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、およびジャン・クロード・ユンケル欧州委員長とそれぞれ個別に会談を行った。英政府高官は「建設的で深刻な会談だった」と説明している。

「意味ある投票」

英国内では、ブレグジット合意について議会が投票する案について議論が白熱している。

一部の議員は、合意を受け入れるか否かを選ぶ以上の権限、つまり二度目の国民投票や追加交渉を選ぶ余地を求めている。

しかしドミニク・ラーブEU離脱相は下院の委員会宛の書簡で、投票結果は明白でなくてはならず、承認と拒否以外の選択肢は不透明感を生むため、そのようにはならないと示唆した。


<解説> 「うまく行かないだろう」 ――ローラ・クンスバーグ、BBC政治編集長

問題解決のために話し合いの期限を延長するというのは、まったく理にかなったアイディアだと、多くの人はそう思うだろう。しかし保守党下院議員を含む一部の人にとってそれでは、英国が2022年まで現状を脱出できないことになる。

そうなれば、使い道のよく分からないまま、EUに数十億ポンドを払うと約束することになりかねない。これは離脱派にとって重大事だ。

さらに大きな問題がある。移行期間の延長を決めたとして、それが英下院で承認されるとは思えない。元残留派の議員は私に、「絶対にうまく行かない」と話した。

保守党のEU離脱派、イアン・ダンカン・スミス議員は、「何も見返りがないのに(移行期間を)1年延長するのを、どうして認めるのか」と批判している。保守党の元閣僚、ニック・ボールズ議員も「どうぞがんばって」と皮肉にツイートした。

EUをその気にさせるのは一苦労だが、メイ首相にとっては地元対応の方が大変だ。大反乱を巻き起こしたいなら、EUとの関係延長は方法のひとつだ。


(英語記事 UK 'may consider longer Brexit transition'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45898113

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