WEDGE REPORT

2018年12月7日

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朴承珉 (パク・スンミン)

在韓ジャーナリスト

在ソウルジャーナリスト。元・時事通信ソウル支局記者。文藝春秋・週刊文春ソウル特派員。長年、北朝鮮問題をウオッチ、平壌、開城工業団地、板門店、金剛山など7回以上北朝鮮の地に入って取材。日本の新聞、テレビ、雑誌などに寄稿・解説。韓国の新聞などに寄稿している。

(holwichaikawee/gettyimages)

 高齢社会に入った韓国は、医療費支出の増加と給付の拡大で健康保険財政の悪化が懸念される中、外国人地域加入者の健康保険制度が問題を抱えていることが明らかになった。外国人健康保険の財政収支の赤字が過去5年間で2倍以上急増したのだ。これを受け、保健福祉部(省)が外国人が韓国に入って健康保険に加入した後、高価な診療を受けて帰ってしまう問題を改善することにした。

 国民健康保険公団の“2013年~2018年6月までの外国人の健康保険収支の現況”と題する資料によると、13年に941億ウォン、14年に1138億ウォン、15年に1310億ウォン、16年に1716億ウォン、17年に1987億ウォンと、外国人の健康保険の財政収支の赤字が着実に増加した。外国人の地域加入者が健康保険料として納めた金額に比べ、過度な恩恵を受けていることがわかる。

1万5000倍の恩恵

 ある外国人加入者は5年間300万ウォン(約30万円)の健康保険料を納め、6億ウォン(約6000万円)、また別の加入者は30万ウォン(約3万円)を納付し、2億5000万ウォン(約2500万円)の恩恵を受けるなど、健康保険料と納めた金額に比べて800倍以上の恵みを受けた。結核診療患者の中には40万ウォン(約4万円)を納めて9000万ウォン(約900万円)の優遇を受けたり、ある患者は2990ウォン(約290円)の健康保険料を納めて4500万ウォン(約450万円)を超える恵みを受け、"1万5227倍"の多大な恩恵を受けたケースもあることが分かった。

 中国人C氏(15歳)は難病の血友病と診断された。彼の両親は15年に韓国に入って来て地域加入者として健康保険に加入した。C氏は韓国で病院治療を受けることになった。3年間の病院費として4億7500万ウォン(約4700万円)が請求されたが、健康保険で4億2700万ウォンを負担した。健康保険公団はC氏の両親が支払った病院費4800万ウォン(約480万円)のうち、1800万ウォン(約180万円)を本人負担の超過額として払い戻すことまでした。この期間、C氏の両親が納めた健康保険料は260万ウォン(約26万円)に過ぎない。

 最近5年間、C氏のような外国人患者100人の治療にかかった健康保険の負担金が224億8000万ウォン(約22億円)だった。彼らが納めた健康保険料の総額は4億ウォン(約4000万円)で、彼らがもたらした健康保険の財政赤字が220億ウォン(約22億円)を超えるという分析が出た。

増加する外国人加入者

 正しい未来党の崔道子議員は9月30日、国民健康保険公団から治療費を沢山支出した外国人患者の上位100人の資料を公開した。同資料によると、高額治療を受けた外国人患者のうち、中国人(68人)が最も多く、米国人(15人)、台湾人(5人)が後に続いた。日本、ロシア、ベトナム国籍者もそれぞれ2人だった。この3年間、3万2000人余りの外国人が治療だけ受けて出国した。彼らが健康保険料から受けた保険の恵みも3年間で228億(約22億円)に達する。

 外国人健康保険の地域加入者数の増加傾向も続いている。13年に16万2265人、14年に18万4805人、15年に20万8184人、16年に24万8479人、17年に27万416人に増加し、今年6月現在に29万876人で、外国人健康保険の財政赤字の幅はさらに大きくなる見通しだ。

 現行の国民健康保険法により、外国人の場合、職場加入者でなくても3カ月以上国内に居住すれば、地域加入者として健康保険に加入できる。人道主義的次元で外国人に差別しないのだ。ところが、これは任意規定であるため、外国人などは健康保険加入申請を行わず、高額の治療が必要な時に加入できる。このような弱点を利用し、高い治療を受けさせてもらうため、韓国を訪れる外国人が少なくないという指摘が絶えなかった。

(注・地域加入者とは、非専門の就業(就労)訪問就労、結婚移民、留学生、在外同胞など28種類のビザを受けた外国人らがこれに属する)

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