From NY

2018年12月19日

»著者プロフィール
閉じる

田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 今年も、マンハッタンのロックフェラーセンターにクリスマスツリーが点灯された。

ロックフェラーセンターのクリスマスツリー(撮影:筆者、以下同)

 11月28日に点灯式が行われた今年のツリーは樹齢75年のオウシュウトウヒという常緑樹の一種。ニューヨーク州ウォールキルという町から、100キロ以上の距離をトラックで運ばれてきたのだという。

 ロックフェラーセンターには、毎年このツリーを調達する専門の部署がある。もう10年以上前にその責任者に取材をしたことがあるが、基本的には木の所有者の自己推薦で全米から寄付を募るのだそうだ。だがそのほとんどは、「親が自分の子どもならモデルになれると思い込んでるレベル」なのだそうで、実際に使える条件の揃った木は限られているのだという。

 今年のツリーは5年前に視察に行ったときに目をつけられていたもので、ついに今年の出番がきまって伐採された。1月7日までスワロスキーのデコレーションで飾られた後、Habitat for Humanityというチャリティ団体に寄付されて、恵まれない人々の家を建てる建材に生まれ変わる。

 このクリスマスツリーの始まりは、1931年、大恐慌の真っ最中にロックフェラーセンターの建築に携わっていた労働者たちが寄付を集めてたてたツリーだったという。現在では世界中から観光客が集まってくるニューヨークのクリスマスの中心地となった。

絵に描いたようなアメリカのクリスマス

 著者が高校時代を過ごしたノースカロライナでは、人々はクリスマスのために残りの11ヶ月かけて準備するといっても過言ではないくらい、クリスマスは1年のハイライトだった。

 人口のほとんどが、サザンバプティスト派の熱心なクリスチャンだったためである。

 クリスマスツリーは必ず外から見える窓際に飾られ、ツリーの下にはプレゼントの山が積まれる。家の外も前庭にキリスト降誕の人形が置かれたり、屋根まで様々なイルミネーションで囲まれる。もともと平素から週に3回教会に通う人たちだが、クリスマス時にはそれがさらにエスカレートし、朝も晩も信者たちはミサにこまめに顔を出す。

 その合間に主婦はクリスマス用のクッキーを焼き、食卓の上の大きなボウルに山盛りに盛り付けられる。

 子どもたちは近所の家々の前でクリスマスカロルを歌いながら練り歩き、人々は「メリークリスマス!」と言葉を交わしあいながら抱擁する。まさしく私たちが映画で見る、西洋のクリスマスの世界だった。

関連記事

新着記事

»もっと見る