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2018年12月4日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 「ニューヨークには、ジャパンタウンはないんですか?」とよく聞かれる。

 マンハッタンには立派なチャイナタウンがあるし、俗にKタウンと呼ばれるコーリアタウンには、焼肉、韓国コスメなどの店が軒を連ねている。

 でも確かに、ジャパンタウンというものはニューヨークにはない。イーストビレッジには、日本レストランや居酒屋、和風甘味屋などが並ぶ一角があるものの、オフィシャルなジャパンタウンではない。

 そんな中で、11月24日にブルックリンの南のウォーターフロント、サンセットパーク区域にあるインダストリアルシティにジャパンビレッジがオープンした。

ブルックリンにオープンした「ジャパンビレッジ」(撮影:筆者、以下同)

 といっても、これは本物の「ビレッジ」ではなく、日本食専門店とフードコートの複合施設である。ニューヨークの日本食料品店「サンライズマート」、ミシュランスターも獲得した和食レストラン「Kyo ya」のオーナーたちが立ち上げたプロジェクトで、広さはおよそ2万スクエアフィート(約1858平米)。このスペースの中に、日本食料品専門店、ベーカリー、ラーメン屋、肉屋、弁当屋、寿司屋などのテナントが軒を連ねて、中央部にテーブルと椅子が並んでいる。

日本食料品の専門店

インダストリアルシティとは

 ジャパンビレッジが入ったインダストリアルシティというのは、これも実際にはシティではなく16軒の建物からなる巨大な複合施設の建物の名称だ。

 もともと倉庫と工場が立ち並ぶ工業区域だったこの一帯。マンハッタンの不動産の高騰により、ブルックリンにも再開発の波が押し寄せてくるにつれて、再生されていった区域なのである。

 1990年代にはこのインダストリアルシティも改装されて、ブティック、ギャラリー、オフィス、レストランなど、色彩豊かなテナントが入るようになってきた。

 「もともと当時のこのあたりは、ヒスパニックと中国系が多い区域でした。(ブルックリンの)中華街も近くです」と説明してくれたのは、10年前にこの地域に引っ越してきた日本女性のSさんである。彼女はアーティストのご主人と一緒に、このインダストリアルシティの一角で、アーティストの共同スペースとギャラリーを運営していた。

 だが1年ほど前に家賃が倍以上に値上がりすることを通告されて、リースの更新を断念。インダストリアルシティから数ブロックはなれた場所に移ったのだという。

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