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2019年1月15日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 サムスンが次世代のスマホとして「折りたためる」液晶画面を提案して話題となったが、まだサムスンが製品化していない段階でいち早くこのコンセプトを実現、発売して話題になっているのが中国のRoyale社だ。

 Royale社は2012年、スタンフォードの卒業生であるビル・リウ氏によってシリコンバレーに設立された。当初からフレキシブル・ディスプレイの開発を目指し、これまでに総額で17億ドルの投資を世界中から集めた。現在は中国深センに本社、工場を所有している。

 

 同社が開発した世界初のフレキシブル・スクリーンを持つタブレット・スマホ、FlexPaiは現在すでにオンラインでの販売が始まっている。基本的には7.8インチスクリーンのタブレットだが、半分に折りたたむとスマホとなる。折りたたんだ時点で画面は自動的にスマホサイズに代わり、両面で異なる画面を表示できる。RAMは6GBと8GBのモデルがあり、メモリーも128GB、256GBが用意されており、価格はそれぞれ1319ドル、1469ドル。CPUにはクアルコム社製のスナップドラゴン8が使用されている。

 FlexPaiは発売以来非常に人気が高く注文が殺到しており、2019年1月現在で注文から出荷まで60−90日待ちの状態だという。

 スクリーンだけではなく、Royale社はフレキシブルセンサーなど新たな分野の開発も進めており、ロボティクス、自動運転、宇宙航空など様々な事業との提携が進んでいる。昨年12月にはエアバス中国技術開発センターとの間に戦略的相互理解メモランダムが取り交わされ、今後航空機開発の中でフレキシブル電子技術を活用した部品などの開発の可能性についての共同開発を行っていく予定だという。

 フレキシブルに折りたためる画面を持つタブレット・スマホは今後サムスンを始め複数の企業が参入し、競争が高まると予想されるが、Royaleの製品にはこの技術を活かした遊び心があるものも多い。

 例えばフレキシブルセンサーを使ったRoWriteという製品は、世界初の「スマート・ライティング・パッド」と呼ばれるもので、ノートに普通に文字で書いた内容がタブレットにそのまま反映される。タブレット上の画像などに文字を書き加えることもできるしタブレットのメモ機能でメモを製作、イラストなどの製作も可能だ。普通に文字で書いた紙がそのまま残り、同じ内容がタブレット上に転送される、というところが新しい。価格は129ドル。

 さらにフレキシブル・スクリーンを使えばファッションにもユニークな色を添えることができる。フレキシブル・ウェアラブル・コンボと呼ばれる製品は帽子とTシャツのコンボ。シルクハットのような帽子の半分にスクリーン、Tシャツの胸の部分にもスクリーンが設置されている。例えばスポーツの応援、物品の販促などに役立てることができる。表示される映像はオーダーメイドで、販促のための映像を流したりスポーツ応援の場合「GOAAAAAAL」などのメッセージを流すことも可能だという。価格は2つコンボで1399ドル、Tシャツと帽子を個別に購入する場合はそれぞれ899ドルだ。

 

 さらに、CESの会場でコンセプトとして展示されていたのが女性用のハンドバッグ。蓋の部分がスクリーンになっており、こちらも好きな画像を表示できる。現時点ではこれらの製品に使われるスクリーンには通信機能はないが、いずれタブレットやスマホ機能を持たせることも可能になるかもしれない。女性ならばハンドバッグの蓋の部分でメールをチェックしたり好きな音楽や映像を見たり、というのは意外に便利な機能だ。

 またこちらも製品化前ながら、車のダッシュボード向けのフレキシブル・スクリーンも展示されていた。今の車のトレンドとして中央に大型のスクリーン、そしてハンドル部分に操作用小型スクリーン、というのが増加しているが、そこにフレキシブルさを加えれば空間デザイン的にも新しいものが登場するだろう。

 サムスンのような大企業がコンセプトとして発表しながらまだ製品化できていないものを、スタートアップ企業がいち早く実現してしまう、というのが今のイノベーション時代の特徴なのかもしれない。

  
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