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2019年5月28日

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オーストラリアの下院(定数183)は27日、特別議会でセバスティアン・クルツ首相に対する不信任案を可決した。

不信任案には野党・社会民主党のほか、クルツ氏が率いる中道右派・国民党と連立を組んでいた極右・自由党も賛成に回った。

自由党をめぐっては先に、党幹部のハインツ=クリスティアン・シュトラッヘ前副首相の利益供与スキャンダルが発覚。自由党所属の閣僚が全員辞任し、連立が解消されたばかりだった。

クルツ氏は28日午前11時半(日本時間午後6時半)に正式に政権から離脱する。

クルツ氏は2017年10月の総選挙で勝利し、世界最年少の31歳で首相となったが、今回の件を受け、第2次世界大戦後で初めて不信任決議によって同職を退くことになった。

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オーストリアのアレクサンデル・ファン・デア・ベレン大統領は、シュトラッへ氏の後任だったハルトウィヒ・レーガー副首相兼財務相を首相代理に任命した。

ファン・デア・ベレン大統領はテレビ演説で、憲法上、「移行期間であっても」全ての閣僚職が埋まっている必要があるとして、閣僚に政権残留を求めた。

レーガー氏はクルツ氏と同じ国民党所属。オーストリアは9月に総選挙を控えているが、それまでの暫定政権が決まるまで代理を務めることになる。

欧州議会選挙では勝利した

野党は27日、クルツ首相と内閣それぞれに対する不信任案を提出した。

社会民主党は52議席しか議席を持っていないが、51議席を保持する自由党が不信任案に賛同したため、可決に必要な過半数を達成した。

26日に開票が行われた欧州議会選挙で国民党は得票率35%の見込みで勝利したものの、クルツ首相の残留は叶わなかった。

不信任投票の後にクルツ氏は暫定政権を支えると述べ、国民党と共にオーストリアに「安定を保証する」と話した。

一方、野党側からは、クルツ氏も連立崩壊の責任を負うべきだという意見が出ている。

自由党のスキャンダルとは

このスキャンダルは、スペインのイビザ島で撮影された盗撮動画が発覚のきっかけになったことから、ウォーターゲート事件にちなんで「イビザゲート」とも呼ばれている。

動画が撮影されたのは2017年の総選挙前で、自由党のシュトラッへ氏と党幹部ヨハン・ギュデヌス氏がロシア人富豪の姪とされる女性と会合している様子が映っている。

この会合でシュトラッへ氏はこの女性に、オーストリアの新聞クローネン・ツァイトゥングの株式を大量に買い、自由党支持に回るよう仕向けてくれれば、公共事業の契約を約束すると話したとされる。

また、クローネン・ツァイトゥングから大量のジャーナリストを「追い出し」、ハンガリー右派政権のオルバン・ヴィクトル首相が構築しているような「メディア業界を作り上げたい」と話している。

独メディアがこの動画を公表。その数時間後にシュトラッへ氏は辞任した。

これを受けてファン・デア・ベレン大統領は、クルツ氏の要望に応じて自由党所属のヘルベルト・キクル内相を更迭。他の自由党所属の閣僚もこれに沿う形で次々と辞任した。

しかし現地APA通信によると、シュトラッへ氏は十分な支持が集まった場合、欧州議会選挙で自由党が確保した3議席のひとつを確保する可能性もあるという。

(英語記事 Austrian leader ousted after secret video row

提供元:https://www.bbc.com/japanese/48428991

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