北極には南極と違い一般海洋法が適用される。しかし氷が張った海域に関する同法の例外規定が解釈に幅を生む。例えばカナダが内水だという航路は、米国が公海だと主張し譲らない。
つけこむ余地が北京にできる。その分中国の影が関係国には誇大に映り、それがまた北京に政治力を加算する循環ダイナミズムが既にある。
11年10月、在中国デンマーク大使は北京の北極に対する関心を「自然かつ正当」だとし、中国をACオブザーバーにすべきだと述べた。ダイナミズムが早くも動き出した表れだ。
上海から北極経由ドイツのハンブルクへ行くと、南回りより6400キロ短縮できる。関心をもつ理由は中国にあるが、必ずや海軍力を随伴するだろうことが周辺国を不安にする。
日本がACオブザーバーになる意向を示したのは中国に遅れること3年、09年のことだった。実は韓国にも3年遅れた。うかうかできない。
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