BBC News

2019年8月21日

»著者プロフィール

ドナルド・トランプ米大統領は20日、9月に予定されていたデンマーク訪問を取りやめた。メテ・フレデリクセン首相が、グリーンランドをアメリカに売るつもりはないと発言したことを受けて、ツイッターで発表した。

トランプ大統領は先週、グリーンランド買収に関心があると話した。しかし、フレデリクセン首相はこの提案は「馬鹿げている」と一蹴し、トランプ氏の冗談だといいのだがと話していた。

トランプ氏は、デンマーク女王マルグレーテ2世の招待で、9月2日からデンマークを訪問する予定だった。

トランプ大統領はツイッターで、「デンマークは素晴らしい国民のいるとても特別な国だが、メテ・フレデリクセン首相はグリーンランド購入について話し合う気はないようなので、2週間後の会談を別の機会に延期することにした」と説明した。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1163961882945970176?s=20

ホワイトハウスの報道官も、大統領の訪問が中止になったと認めている。

トランプ氏はこれに先駆けて、グリーンランド買収に関心があるという報道を認めた。アメリカの領土との交換も視野に入れているかとの質問には、「色んなことが可能だろう」と答えていた。

「これは大きな不動産取引だ」

しかし、この提案はグリーンランドとデンマークの政府関係者によって却下された。

グリーンランドのキム・キールセン自治政府首相は、「グリーンランドは売りに出していない。しかし、グリーランドはアメリカを含む他国との貿易や協力には、門戸を開いている」と話した。

ラース・リュケ・ラスムセン前首相はツイッターで、「これはエイプリルフールの冗談に違いない」とツイートしていた。

グリーンランドはどこ?

グリーンランドは北大西洋および北極海に位置する、世界最大の島。デンマーク王国の一部だが自治政府を持ち、独自の議会もある。

人口は約5万6000人で、沿岸地域に集中している。人口の9割はグリーンランド先住のカラーリット(イヌイット)が占める。


島の8割は氷で覆われているが、地球温暖化で溶ける危険性がある。一方で、氷が溶けることで、島の鉱物資源が採掘しやすくなっている。

一方で、島内の米軍基地に米軍が冷戦中に埋めた有害な核廃棄物も、氷の溶解で露出するのではとみられている。

米軍は第2次世界大戦中にグリーンランドに基地を設置。戦後も戦略上の重要拠点と位置づけ、北大西洋条約機構(NATO)の一環として、現在に至るまで空軍基地やレーダー基地を置いている。

なぜグリーンランドに興味を?

トランプ大統領は、石炭や亜鉛、銅、鉄鋼といったグリーンランドの天然資源に興味を持っていると報じられている。

しかしグリーンランドは現在、予算の3分の2をデンマーク政府に頼っている。自殺率やアルコール依存症、失業率も高い。

米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領はグリーンランドの「国家安全保障上の価値」に注目していると伝えた。

共和党のマイク・ギャラガー下院議員は、トランプ氏のアイデアを「賢い地政学的な動きだ」と評している。

過去にもグリーンランド購入を模索

アメリカは1860年代、アンドリュー・ジョンソン大統領の時代にも、グリーンランドの買収を画策したことがある。

1867年の国務省報告書によると、グリーンランドはその戦略的位置や豊富な資源から、理想的な購入対象だと示唆されている。

しかし1946年にハリー・トルーマン大統領がデンマークに1億ドルでグリーンランドの購入を提案するまで、公に動きはなかった。

AP通信によると、トルーマン大統領はこの時、アラスカとグリーンランドの戦略的地域の交換も視野に入れていたという。

(英語記事 Trump cancels Denmark visit over Greenland sale spat

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49416875

関連記事

新着記事

»もっと見る