2024年5月4日(土)

“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2019年9月29日

9-12、もう勝てると確信

 その後、16分にスクラムハーフの流大(ながれゆたか)に代わり田中史朗が入る。流は「フォワードがタフにコンタクトして、バックスリーのディフェンスも頑張ってくれました。あの点差(9-12)であの状況で史さんに受けわたしたときには、もう勝てると確信していました」とプラン通りに進められた自信を覗かせた。

 19分にはショートサイドを突いたバックス陣が超絶のパスワークを見せ福岡堅樹がゴールラインに飛び込んだ。「ティム(ラファエレ・ティモシー)があそこでもらった時点で絶対に放ってくれるのはわかっていましたし、ティムも自分がそこにいるのが分かっていたので見ずに放ってきました。お互い阿吽の呼吸です。ティムを信頼して自分は走り抜けるだけだと思ってもらいました。もらう気満々でした」と笑顔がはじけた。

 さらに、31分にPGからの加点により「19-12」と引き離し勝利を収めた。後半の後半はシンプルで激しいアイルランドの猛攻が続いたが、日本は理詰めの、それでいてど根性と書きたくなるような激しいタックルを見せ満員の観衆を沸かせた。特に強力なアイルランドフォワードを相手に日本人ばなれしたプレーで身体を張り続けたフランカー姫野和樹の強さは特筆すべきものだ。

 「フォワードが前に出られるかというブレイクダウンでかなりやれたと思っています。ボールをキープし続ける中で相手が我慢しきれずペナルティというプラン通りの展開になりました」と振り返り、フォワード勝負で競り勝ったという自信に満ち溢れていた。

 アイルランドは本大会の開幕時は世界ランク1位だったチームである。そこに乾坤一擲の大勝負を懸け制したのである。まさに歴史的な勝利といえる。試合後の会見でアイルランドのジョー・シュミットHCは「日本におめでとうといいたい。エネルギー、強度が素晴らしかった。最初の4分の1は12-3でコントロールできたが、時間が経つにつれ、向こうに酸素が行った。ペナルティを犯し躊躇い、向こうに勢いがついた。日本はスキルのクオリティが高く期待通りタフで強いチームだった」と語った。

 日本のジェイミージョセフHCは「我々は3年間掛けてこの試合に焦点を当ててきた。すべての選手、スタッフが協力してくれた。アイルランドは明らかにクオリティの高いチームだが、自分たちの信念を貫いて闘いテストマッチに勝った。先週のロシア戦はプレッシャーがかかったが、今日は持ちこたえた。ラグビーコーチとして今日の勝利を嬉しく思う」と表情をやわらげた。


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