2024年5月6日(月)

From LA

2019年10月6日

 もっともウーバー・ワークはウーバーが独自に行うマッチングアプリというよりも、人材派遣会社のために使いやすいプラットホームを提供する、という側面が強い。つまり派遣される人々はすでに派遣会社に登録しており、福利厚生その他は派遣会社が負担する。単に余剰人材を出さないために企業の要求するシフトをアプリ上で公開し、派遣会社がそれに併せて人材を送り出す、という使い方がされると予想されている。

 ウーバーとしては法律になるべく抵触しない形で新たなビジネス展開を目指しているのだろうが、どこから利益を生み出せるのかは不透明だ。しかもこうした単発仕事用のアプリというのはすでに他社が提供しており、ウーバーがこの分野にどれだけ食い込めるのかも疑問視されている。

ギグビジネスに人が集まるのは正規労働の仕事が少ないから

 ウーバーの挑戦はギグビジネスの生き残りをかけたもの、と言えるかもしれない。そもそもギグビジネスに人が集まるのは、それだけ正規労働の仕事が少ない、ということを意味する。米国の失業率は改善している、と言われ、2012年には8%を超えていたが19年7月時点では3.7%にまで下がっている。ただしその多くは非正規労働であり、正規の雇用率は60.9%に留まっている。

 そんな中でライドシェアのドライバーはエキストラインカムのソースとして注目され、一部では支持されている。しかしそれを専業にするには収入不足となる。ギグビジネスは社会的に受け入れられるものなのか、それとも排除されるべきものなのか。議論はまだまだ続きそうだ。

  
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