安保激変

強まるオスプレイ配備への反発 現実離れした日本の要求

辰巳由紀 (たつみ・ゆき)  スティムソン・センター主任研究員

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

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日本にできること

 そうはいっても、これだけ事故が続けば、オスプレイの受け入れ先となる山口県や沖縄県、特に基地周辺の人が懸念を持つことは当然のことだ。しかし、オスプレイのような米軍装備品の日本配備については、安全保障条約上、これを拒む権利には地方公共団体は言わずもがな、日本政府にもない。「配備に関して米国と交渉すべきだ」という声もあるが、そもそも、このような案件は交渉の対象にはならないのだ。

 にもかかわらず、国防総省は、4月と6月の事故調査報告を日本と速やかに共有することを約束し、日本に配備予定のオスプレイについても、日本政府からOKが出るまでは「配備はするが飛行は禁止する」と既に決めている。オスプレイが空軍型も海兵隊型も、4、6月の事故や7月の緊急着陸の後も、世界のほかの地域では通常どおり飛行を続けていることを考えれば、米側がこの問題が日本で持つ重要性を勘案し、配慮した結果の措置だと思う。日本政府が今すべきことは、国防省が日本に対する配慮を見せている今だからこそ、「万が一事故が起こった際の手続き」について米側と協議し、その手続きの中で日本政府のしっかりとした関与を約束させ、2004年に沖縄国際大学の海兵隊ヘリ墜落事故の事後対応の二の舞にならないことを確保することだ。

 日本政府は米側の措置を受け入れ、オスプレイの搬入自体には異論を唱えていないが、国政を担う人たちの間で「オスプレイ配備延期・反対」を唱える声が散見される。その声に対してはこう聞きたい。「オスプレイ配備の延期や中止を米国に認めさせるためには、日本政府はそれなりの覚悟を示す必要があるが、あなたたちはそれを認める用意はあるのですか」と。

 日本防衛や日本の周辺で起こる可能性がある有事も念頭においた上で米国が配備を計画したオスプレイを、日本の現実離れした安全感覚を理由に使えないようにするのであれば、日本はその責任を負わなければならない。すなわち、オスプレイ配備を認めないのであれば、オスプレイが飛行できないことで影響が出る海兵隊の展開能力を日本の自衛隊に肩代わりさせる用意があることを日本政府が示す必要が出てくるが、日本の政治はこれを認めるのか、ということだ。もし本当にそこまで覚悟ができているのであれば、米国と「配備延期」「中止」をめぐって交渉するように、政府に堂々と要求すればよいだろう。それをせずにただやみくもに配備延期や反対を求めるのは、「国を守る」意識の欠如を露呈し、米国の日本に対する失望を深めるだけだということを理解するべきだろう。

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辰巳由紀(たつみ・ゆき)

スティムソン・センター主任研究員

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

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