2024年4月19日(金)

安保激変

2012年8月14日

国連海洋法条約に基づく強制調停を

 それでも方法はある。それは国連海洋法条約に基づく紛争処理である。同条約では、境界画定に関して紛争当事国の一方の申し立てにより、仲裁裁判所での強制調停に持ち込むことが可能だ。

 問題は、韓国が1996年にこの強制調停を受け入れないと宣言していることだが、国連海洋法条約が発効した1994年以降の紛争処理に関しては強制調停を逃れることはできない。竹島問題は1952年の李承晩ラインを起源とするが、日韓の漁業協定は1999年発効である。つまり、この漁業協定に関する強制調停ならば可能となる。日本政府は韓国が漁業協定を遵守せず、暫定水域を占拠し、竹島周辺の海域に近づく日本漁船を排除していることを協定違反として提訴することを検討すべきだ。

 領有権そのものについてはこの強制調停という方法は使えないが、韓国が竹島周辺海域から日本船を排除することが協定違反と認められれば、韓国の竹島領有も否定されることになろう。

 ただし、間違っても日本側から対話を拒絶するようなことはあってはならない。日韓シャトル外交の停止などは愚の骨頂である。意見が違うときほど、緊張が高まっているときほど、国家の指導者は話し合うべきである。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る