世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月20日

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 米海軍出身のジェームス・ウェブ民主党上院議員が、8月20日付WSJ掲載の論説で、領土問題につき中立を守るとの米国の腰の座らない政策は、南シナ海における中国の眼に余る軍事行動を許す結果を招いており、米国がしっかりした対応を取らなければ、東アジアの安定を保証できなくなる決定的な瞬間が来ている、と論じています。

 すなわち、第二次大戦後、アジア太平洋地域の力関係が、日本からソ連、更には、中国へと移動する中で、米国は、朝鮮戦争、ベトナム戦争の激動を経つつも、同地域の安全を保証してきた。

 しかしながら、この二年間だけを見ても、中国は、日本と尖閣で対決し、南シナ海でも関係諸国と対決している。特に、南シナ海においては、三沙市を設立するまでに至っている。

 米国が、アジア太平洋の領土問題について中立を守り、国際社会の更なる関与を求める弱小国の期待に応えなかったことが中国を増長させて来た。中国は二国間での問題解決を主張しているが、中国の国力が増大している現状では、その方式では、中国のやりたい放題の結果にしかならない。

 米国、中国および全てのアジア諸国は、避けて通れない決定的瞬間を迎えている。領土問題の平和的解決とあからさまな敵対行動は全く別のことであり、この課題に如何に対応するかが南シナ海だけでなく、東アジアの安定、米中関係の将来にも重要な意味を持つ。

 米国では大統領選挙に関心が集中しているが、東アジアの全ての国が南シナ海における中国の行動に対する米国の対応に注目している。米国が東アジアの安定を保証する国家としての必要な役割を果たすことが出来るのか、或いは、この地域が武力の行使や武力による威嚇が蔓延する地域になり下がってしまうのかを見守っているのだ、と論じています。


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 この論説は、南シナ海問題の本質をよく捉えた、極めて正鵠を射たものです。

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