日本の漁業は崖っぷち

2013年5月2日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 2011年の世界の水産物総生産量が、FAO(国連食糧農業機関)から発表されました(図1)(世界水産物生産量推移のグラフも参照)。数量は、前年比6%増の1億7,800万トンとなり、10年連続で過去最高を更新しています。漁業生産は4年ぶりに前年を上回り、養殖は1961年以来成長を続けています。

 これが成長を続けている世界の水産業の実態です。国別では、漁業・養殖共に中国が首位。日本は、漁業で前年の5位から7位へ、養殖で9位から12位に順位を落とし、水揚げ量は年々減少しています。そこには、残念ながら1972年から1988年までの実に17年間もの間世界最大の漁獲量を誇っていた姿はありません。

 また、農林水産省によると2012年の漁業就業者数(岩手、宮城、福島の3県を除く)は、17万3,660人で、前年より4,210人(2.4%)減少しています。特に60歳以上の漁業者が占める割合は、前年より0.9%増加し51.5%と半分以上となっています(図2)。海面漁業(遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業、海面養殖業の総称)の経営体数は約9万の経営体で、この内、個人経営体は95%を占めています。経営体数も前年比で2.5%減少しています。誰がみても、非常に厳しい産業になっていることは明確だと思います。

自画自賛する日本の漁業

 ところが日本の水産白書(平成23年版)には、「資源管理の成功には地域をまとめるリーダーの存在や社会的連帯の存在が大きく貢献しており、共同管理が世界の漁業問題の有効な解決策となり得る」「我が国においては、古くから漁業者が水産資源を共同で管理しており、その基本理念が現在の漁業制度に引き継がれています。我が国の漁業は、世界的に見ても共同管理の先取りともいうべきものです。」と、2011年の科学雑誌ネイチャーに紹介されている、とあります。

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