2024年12月6日(金)

日本の漁業は崖っぷち

2013年5月2日

 2011年の世界の水産物総生産量が、FAO(国連食糧農業機関)から発表されました(図1)(世界水産物生産量推移のグラフも参照)。数量は、前年比6%増の1億7,800万トンとなり、10年連続で過去最高を更新しています。漁業生産は4年ぶりに前年を上回り、養殖は1961年以来成長を続けています。

 これが成長を続けている世界の水産業の実態です。国別では、漁業・養殖共に中国が首位。日本は、漁業で前年の5位から7位へ、養殖で9位から12位に順位を落とし、水揚げ量は年々減少しています。そこには、残念ながら1972年から1988年までの実に17年間もの間世界最大の漁獲量を誇っていた姿はありません。

 また、農林水産省によると2012年の漁業就業者数(岩手、宮城、福島の3県を除く)は、17万3,660人で、前年より4,210人(2.4%)減少しています。特に60歳以上の漁業者が占める割合は、前年より0.9%増加し51.5%と半分以上となっています(図2)。海面漁業(遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業、海面養殖業の総称)の経営体数は約9万の経営体で、この内、個人経営体は95%を占めています。経営体数も前年比で2.5%減少しています。誰がみても、非常に厳しい産業になっていることは明確だと思います。

自画自賛する日本の漁業

 ところが日本の水産白書(平成23年版)には、「資源管理の成功には地域をまとめるリーダーの存在や社会的連帯の存在が大きく貢献しており、共同管理が世界の漁業問題の有効な解決策となり得る」「我が国においては、古くから漁業者が水産資源を共同で管理しており、その基本理念が現在の漁業制度に引き継がれています。我が国の漁業は、世界的に見ても共同管理の先取りともいうべきものです。」と、2011年の科学雑誌ネイチャーに紹介されている、とあります。


新着記事

»もっと見る