2024年5月13日(月)

脱炭素・脱ロシア時代のエネルギー基礎知識

2023年9月18日

 石油火力発電所がバックアップ設備として利用されますが、再エネ設備が増えるに伴い石油火力の利用率が下がりコストが上がります。停電を避けるため、利用率が低くなり利益がでない設備でも維持することが必要ですが、その維持費用は電気料金として利用者が負担するしかありません。

 トータルで経済性を考える必要があることも再エネ導入が進まない理由です。そのため固定価格買取制度などによる再エネへの支援が行われます。

 水力、地熱、バイオマス、海洋エネルギーなどは、天候に左右されず利用することが可能ですが、適地が限定されるか、あるいは設備費が高くなる問題があり、大規模な導入を行うことには制限があります。

これからどのエネルギーを使えば良いのか

 エネルギーを選択する際に重要な要素は、安全性を前提に安定供給、経済性、環境性能です。すべてを満たすエネルギーはありません。

 経済性を考え化石燃料を選択すれば、供給国に依存することになり安定供給が問題になります。環境問題も課題になります。

 再エネを利用すれば、環境問題解決には寄与しますが、経済性の問題に加え設備と原材料の供給を中国に依存するため安定供給の心配もしなくてはいけません。

 そのためエネルギーミックスと呼ばれる組み合わせを考えたエネルギー選択が大切になります。

 理想的な組み合わせは、時代により変化すると考えられます。エネルギー危機を契機に、多くの国が目標とするネルギーミックスを変えたことでしょう。

 温暖化問題が重要視される中では、主要国は再エネと原子力の組み合わせにより自給率を向上させながら、経済性を達成する道を探ることになります。化石燃料については二酸化炭素を捕捉・貯留する装置を付けて利用することになります。難しい選択の時代が続きます。

※もっと学びたい方には、英語の勉強を兼ねてですが、米国エネルギー省の子供むけエネルギー教育のホームページをお勧めします(Energy basics - Energy Kids: U.S. Energy Information Administration (EIA))。
編集部からのお知らせ:本連載でもエネルギーを解説する山本隆三氏が著書で、ロシアのウクライナ侵攻に関わるエネルギー問題など、わかりやすく解説しています。詳細はこちら。 

   
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