1972年に、各国の知識人が集まり議論を行っていたローマクラブが「成長の限界」を著しました。地球の環境容量と資源供給量に限りがあることから人口増により経済成長はやがて行きま詰るとの指摘は、大きな注目を浴びました。
特に、日本で話題になったのは、石油など資源の埋蔵量には限りがあり、あと数十年でなくなると書かれていたことです。これにより世界経済の崩壊が2030年までに発生する可能性があるともされていました。
当時日本はエネルギー供給の約4分の3を石油に依存していました。石油がなくなれば大変なことになると考えられました。
翌1973年第一次オイルショックが発生したことから、「成長の限界」はさらに注目を浴びましたが、石油に関する予測は当たりませんでした。オイルショックにより石油の値段がいきなり4倍になったことから、経済的に採掘可能な埋蔵量が増えたことと、石油の消費量が抑制されたためです。今でも石油はあと約60年使えるほどの埋蔵量があります。
資源の埋蔵量は、技術の進捗と価格により変化します。一般的に埋蔵量が少なくなれば、競争力のある代替物が登場しない限り単価が上がるので経済的に採掘可能な量は増えます。
73年のオイルショックにより原子力、天然ガス、石炭への分散が始まりましたが、俄然注目を浴びたのは、石油に代わることができると考えられた再生可能エネルギー(再エネ)でした。石油などの化石燃料と異なり、太陽光、風力、海洋エネルギーは無限にあり、尽きることはないと考えられたからです。
エネルギーには多くの種類があり、埋蔵量に限りがある石油、石炭から、使ってもなくならない再エネまであります。ですが、100点満点のエネルギーはありません。どのようなエネルギーを使えばよいのでしょうか。
使い続けられるエネルギーって?
フリーエネルギーと呼ばれる装置が時々世の中で話題になります。エネルギーを供給しなくても動き続ける永久機関と呼ばれるものです。実用化されればエネルギー問題は一挙に解決します。
1990年代に在京のキー局で、永久磁石の磁気エネルギーを動力に変換する装置が発明されたというニュースが流れました。総合商社の技術開発に係る幹部が番組に登場し、提携相手とされた商社の株価は番組放送後値上がりしました。
永久磁石を利用したフリーエネルギー装置と称されるものは19世紀から登場していますが、実現したものはありません。詐欺ではないかと話題になりました。