2024年5月9日(木)

勝負の分かれ目

2023年11月11日

 フィギュアスケートという競技の枠を超え、〝物語〟はアートの領域に達している――。羽生結弦さんのプロ2年目は11月4日、秋晴れの好天に恵まれたさいたまスーパーアリーナから幕を開けた。

 新プログラム3曲を含む珠玉の12演目。プロジェクションマッピングに、リンクサイドにせり上がりの舞台装置……。細部にまでこだわり抜いた演出は、約2時間半をたった一人でぶっちぎった「主役」の圧倒的なパフォーマンスによって一段と輝きを解き放った。

フィギュアで魅せるゲームの世界観

新たな〝物語〟を紡ぎ続ける羽生結弦氏(写真は2023年5月の2023 ファンタジーオンアイス。YUTAKA/アフロスポーツ)

 「人生をやめなければ、明日は続いていく。そんなことを考えながら、この物語を紡ぎました」

 昨年11月の「プロローグ」、東京ドームの「GIFT」に続き、「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR」は単独公演第3弾にして初のツアー公演となった。

 演出のベースとなったのは、8ビットの画面など大好きなゲームの世界観だ。

 「自分自身、いろんなゲームだったり、漫画だったり、小説だったりと、いろんなところから、『自分の人生ってなんだろうな』とか『命ってどういうものなのかな』とか、本当にざっくり、いろんな作品から受け取っていました。

 ゲームの中では、命という概念がある意味で軽いというか、繰り返しできます。だからこそ、いろんなことを、キャラというものを使って好奇心のままに進んでいくことができます。それは現実の世界に当てはめてみたら、夢をつかみにいく原動力のある人間なのかもしれないですし、逆に違う観点から見たら、とても恐ろしい人間なのかもしれません。でも、それが繰り返しできるってなったら、きっとするんだろうな、みたいなことをちょっと考えていました。

 選択肢というものが人生の中にあって、その先に1回、破滅というルートがあったとして、全ての障害を乗り越えて、夢や目標をつかんだ人は、(もう一回)繰り返されるんだったら、何を選ぶだろうか。皆さんが何を選んで、何を感じるのかなということを、このストーリーの中で考えてもらいたいというのが今回のテーマです」


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