合否発表は予定時間から大幅に遅れ、深夜0時を回ってしまった。入試は前日や当日の深夜などギリギリまでインターネットで申し込むことができるため、2月1日など早く受けた試験の合否によって、次にどこを受験するか入試倍率も見ながら予定を組むケースが多い。
複数の学校の試験が同じ日に重なるため、智子さん親子も2月1日の午前は合格圏にある学校を受けるか、合格圏外でもチャレンジ校を受験するか、この学校が合格なら2月2日はここ、と、日程表と睨めっこしながら2月5日まで午前と午後に受けられる学校のパターンを考えていた。
しかし、滑り止めとして受けた学校の合否発表が深夜を回り、息子は「結果はまだ?」と気にしながら翌日の本命の学校の試験のため、眠りについた。何より早い段階で合格を掴んで自信を持って本命に挑んでほしいと願っていた智子さんだったが、結果、不合格。思わぬ番狂わせとなった。
中学受験が過熱するマジックとは?
思い返せば、その中学は受験当日、学校が用意したカメラクルーが子どもたちにインタビューして回っていたという。智子さんは「パフォーマンス重視の完全な商業だと感じました。もし合格しても、決して入学しないと思いました。これはきっと、公立中学校の質に疑問を感じる層を狙ったビジネスで、きちんと子どもたちを教育しようという学校だとは感じられなかったのです」と、今でも怒りがこみあげてくる。そして、続ける。
「ギリギリまで申し込めることで、試験が単なる確率論になってくると思えてきました。回数を受ければ加点がつく学校まである。そうなってくると、本当に行きたいと思う学校だけを受けるわけでなくなるのです。これが、中学受験が過熱するマジックなのだと思いました。何年も勉強し続けた子どもたちにとって、入試当日は力を出し切る日。それなのに、そんな子どもたちのことなど考えていない」