2024年4月29日(月)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年3月4日

 日本人の2019年度の大学(学部)への進学率は、女性が50.7%、男性が56.6%と、男性の方が5.9%ポイント高いが、女性は全体の7.9%が短期大学(本科)へ進学しており、これを合わせると女性の方が高い。現在は、女子短大の共学化が進んでおり、4年制大学の進学率についても、男女同率となるのは時間の問題だろう。

(girafchik123/gettyimages)

 また、修士課程の社会人入学者に占める女性の割合を見ると、2007年以降5割弱で推移しており2000年の37.1%と比べて10%ポイントほど上がっている。このトレンドもさらに進むことが考えられる。世界経済フォーラムが公表している各国の「ジェンダーギャップ指数」では、少なくとも教育におけるジェンダー平等については、日本はほぼ100%とされている。

 その一方で、23年に関する同調査では、日本は世界の中で「ジェンダー平等」の達成度が125位と低迷している。壊滅的とも言える低迷の原因だが、政治家におけるギャップと並んで、問題になっているのが女性の企業管理職への登用だ。

 この点に関して、分析をしようと思えばいくらでもできる。大学が「文系と理系」に分かれていて、女性は文系、特に人文科学系への進学が多いことや、企業における女性の事務職採用の比重が高いなど、日本企業独特の人材・商習慣が根強く関連しているのは間違いない。

 その一方で、現在の日本経済は円安が進行する中で、ドル建ての経済力はジワジワと衰退が進んでいる。そして、人材不足がさらに事態を悪化させている。そのような中では、女性の人材活用、それも高度な人材活用は待ったなしの課題と言える。

 今回は、批判のための批判、解説のための解説ではなく、問題の本質を踏まえた議論を行ってみたい。その上で、できることは実行し、できないことはその理由を潰すことで、社会を先へ進めるしかない。3点、提言をしたい。

産休、育休に弊害を起こす年功序列

 1点目は年功序列を廃止し、徹底した抜擢人事を行うことである。例えば政府は今から20年以上前の03年に、女性管理職を30%にするという目標を立てて、何度も目標年を設定してきた。けれども、何度期限を延長しても、全くこの数値には到達せず、20年間の歩みとしては極めてスローな結果に終わった。

 別に各企業が女性活躍をサボっているのではない。ただ、終身雇用と年功序列のシステムから脱することができない中では、均等法以降に入社した総合職の女性が、管理職適齢期にならないと昇格させることができないのだ。均等法の施行が1986年であり、例えば入社20年となる40代の前半で課長昇格「適齢期」となるのであれば、「初の女性課長」が登場するのには、2006年まで待たねばならなかった企業は多い。


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