2024年5月10日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年3月10日

ロシアにとり隣国フィンランドとは?

 フィンランドでは日露戦争後に日本の勝利に触発されて独立運動が盛んになったがロシアの支配は続いた。第一次世界大戦の戦後処理の結果ようやくフィンランドは独立したが、第二次世界大戦が始まるとソ連軍に侵略され領土を奪われた。独ソ戦が始まるとフィンランドはナチスドイツに同盟してソ連と戦った。

 第二次大戦後、ソ連はフィンランドに多額の賠償を課したが、フィンランドは戦後復興を遂げ、1952年にはヘルシンキオリンピックを開催。その後フィンランドはソ連邦及び東欧諸国への工業製品輸出により経済成長を続け、ソ連邦崩壊後は1995年にEUに加盟して世界トップレベルの豊かな国に変貌した。

地下鉄パルチザンスカヤ駅ホームに描かれた退役軍人と子供たち。ロシア人が理想とする威厳のある強い家父長像が描き出されている。プーチンはロシア国民の家父長を自認しているのだ

フィンランドの中年男性に群がるロシア人女性

 フィンランドは2002年当時のロシア庶民からすれば面白くない隣国であろう。当時のサンクトペテルブルクで忘れられない光景がある。夕刻ホテルのロビーで新聞を読んでいたら盛んに妙齢のロシア女性に声を掛けられた。ロビーを見渡すとそれらしき女性がロビーのあちこちで客探しをしていた。

 ホテルのマネージャー氏に聞くと、「週末になるとフェリーや車で大挙してフィンランド紳士が泊りがけでロシア人女性を目当てにサンクトペテルブルクに遊びに来るのです」と苦々しく語った。

 おそらくロシア人としては、フィンランドがナチスドイツに加担した仇敵なのに、ソ連邦崩壊後の困窮のなかで経済格差を見せつけられて面白くない隣国なのだった。それがコンサートでの中途退場の背景なのだったのだ。

ロシア人女性の出稼ぎ、日本でのお仕事は?

 サンクトペテルブルグのホテルのマネージャーの話で思い出したのが出張の往路で乗った東京発モスクワ行きのアエロフロートの隣席のロシア人女性。明るいブロンズ美人の彼女は日本での仕事を終えてシベリアの故郷に戻るところだった。

 仕事を聞くとダンサーと答えたので「バレーのダンサー?」と聞くと大笑いして「裸のダンス」とカタコトの日本語で答えた。ヌードダンサーだったのだ。

 半年ほど静岡、愛知、三重、岐阜あたりのロシアン・クラブや温泉地のホテルなどを巡って稼いできたという。沢山稼ぐためにアフターで酔客のオジサンに付き合うこともあったようだ。
モスクワに着くと両手いっぱいに機内持ち込み手荷物を抱えた。家電製品・衣類・医薬品等など全てシベリアの家族から頼まれたお土産だった。

以上 (下)に続く

   
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