2024年5月10日(金)

World Energy Watch

2024年3月27日

 韓国は現在、LNG輸入基地の拡充を計画している。31年までに11のLNG輸入基地の新設が予定され、再ガス化能力は現在の年間1億5300万トンから1億9000万トンに増加する見通しである。長期契約では、韓国ガス公社(KOGAS)が21年、カタール・ペトロリアム(現カタール・エナジー)と25年から20年間のLNG購買契約(年間供給量200万トン)を締結した。

 しかし、米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は韓国のLNG受入基地の拡大計画に対し、現在の稼働率や将来の電力需要予測に基づき、過剰投資であると警告している。原発の新設に加え、再エネや水素といった次世代エネルギーの導入促進を考慮すると、このような指摘は妥当である。

 一方、石炭火力が段階的に削減される中、原子力発電所や太陽光・風力発電所が予期せぬ停止に陥った場合、頼れるのはガス火力発電しかないだろう。電力の安定供給や予備電源の確保の観点からも、ガス火力発電所やLNG受入基地を増設していく必要はあると言える。

日本が考えるべきこと

 こうした韓国の天然ガス政策方針は、日本のエネルギー業界にも視座を与える。日本では、停止中の原発の再稼働や再エネの普及につれて、発電用LNG需要が減少するとの見方が強まっている。

 こうした予測に基づけば、ガス部門へのインフラ投資やLNG長期契約の締結は、経済的観点から推奨されない。しかし、この数年だけでも日本を取り巻く国際エネルギー情勢の変化が相次ぎ、また予期せぬ自然災害が原子力や再エネに及ぼす影響も考慮すれば、日本も将来的なエネルギー安定供給を見据えて、ガス火力発電を一定程度維持していくことが重要であるだろう。

   
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